4月1日付で発足したABS樹脂の事業統合会社「テクノUMG㈱」(東京都港区東新橋)の平野勇人社長が4月11日、JSR本社会議室で記者会見し、経営統合の背景や当面の事業戦略について語った。
新会社はABSを中心としたスチレン系樹脂(ABS、AS、AES、ASA、その他のポリマーアロイ)の製造・加工・販売・研究開発を行うABS樹脂メーカー。資本金30億円。持ち株比率はJSR51%,UMGABS49%(宇部興産㈱、三菱ケミカルが50%ずつ出資)。従業員759人(テクノ259人、UMG500人)。
新会社の生産能力は四日市工場(25万t)、宇部工場(10万t)、大竹工場(5万t)の3工場で計40万t/年。
2社を統合することで営業拠点も国内は東京、名古屋、大阪の3拠点に加え、アメリカ、中国(上海、広州、香港)、アジア(タイ、インドネシア)、欧州(ベルギー、ドイツ)に海外8拠点を有することになった。国内への安定供給と海外ハイエンド市場への拡販を目指す。
ABS樹脂はアクリロニトリル,ブタジエン、スチレンを重合させてつくられる樹脂。ポリスチレンの耐衝撃性を改善するために開発され、家電や自動車部品、玩具など幅広く使われ、引張り強さ、曲げ強さ、衝撃強さ等に優れているのが特長。
国内の生産能力はテクノUMG、東レ、日本エイアンドエル、デンカ、旭化成の5社で60万t強。総需要の約半数が輸出に振り向けられ、内需は30万tを切っている。
一方、ABS樹脂のグローバルな供給能力は約1000万t弱。これに対し、需要量は800万t。台湾の奇美実業、韓国のLG化学、スタイロルーション(旧ダウ)のベスト3社が