国際ゴム研究会(IRSG)がまとめた世界の新ゴム消費量によると、17年は2827万7000tで、前年に比べて3・0%増加した。全体の3割を占める1位の中国が3年連続のプラスだったことや、インドやタイ、ベトナムなどのアジアの新興国が好調だったことも消費量増加を押し上げた。
中国は943万2000tで同2・9%増。16年の3・0%に続いて堅調な伸び率となり、2年連続で前年実績を上回った。中国国内の自動車産業は乗用車・商用車とも生産好調に推移し、これが消費量の増加につながったと思われる。
2位の米国は284万3000tで横ばいだった。米国は13年に260万t台に落ち込んだものの、米国経済の堅調さを反映し、14年以降は回復基調にある。
3位はインドの167万9000tで、同3・5%増。自動車市場が急拡大しているインドでは、新車販売台数が2020年始めに日本を抜くと見られている。インドは新興国の中でも高い経済成長が続いており、新ゴム消費量も増加傾向で推移している。
4位の日本は155万6000tで同0・8%増。日本の新ゴム消費量はここ数年減少傾向で推移していたが、17年は自動車用タイヤを始め、ゴムホースでは自動車用や建機や工作機械向けの高圧用の需要が好調で久しぶりに前年実績を上回った。ただ、タイヤを始め、ベルトやホースなどのゴム部品メーカーでは現地生産が進み、国内消費量の大幅な増加は見込めない状況だ。
5位はタイの127万5000tで前年比10・7%増。タイではアジアのグローバル拠点として完成車メーカーや部品メーカーの進出が加速している。それに伴い、タイの新ゴム消費量は拡大が続いている。
この結果、上位5ヵ国が全消費量に占める割合は約6割となった。
なお、上位15ヵ国の中で最も伸び率が大きかったのは、16年に続き12位のベトナムで20・5%増。安価な労働力を背景に、アセアンの新たな生産拠点として注目を集めるベトナムでは、日本や韓国など電子機器メーカーの進出が相次ぎ、今後も消費量の増加が見込まれている。
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