CMB特集 特殊ゴム練・技術で差別化目指す

2018年04月20日

ゴムタイムス社

 カーボンマスターバッチ(CMB)は、ゴムポリマーにカーボンブラック、ゴム薬品(促進剤、補強材、充填剤、老化防止剤)などを混ぜたゴムコンパウンド。
 主に自動車用ゴム部品を中心に、建築・土木製品などの工業用ゴム製品や半導体などにも使用される。
 近年のCMB業界動向については、主力顧客先である自動車部品メーカーが海外生産移管による材料の現地調達が進んでいるほか、加工部品メーカーの内製化などにより、CMBの需要構造が大きく変わり始めている。

 その結果、CMB業界の大手や中堅メーカーともに、受注量の減少という構造的な問題に直面している現実がある。
 そこで、ポリマー系列の大手メーカーや一部の中堅メーカーは、ゴム加工メーカーの海外生産拡大を背景に、中国やタイなど拠点を構え高品質CMBを生産しはじめた。主に日系メーカーを中心に製品を供給することで活路を見出そうとしている。

 一方、小口練りを得意とする中堅メーカーでは、汎用のゴム練り以外の付加価値を高めた特殊ゴム練をはじめ、樹脂や繊維などの異素材を混ぜた特殊ケミカルマスターバッチなど、高品質な製品群に展開することで国内需要を喚起していく方針で、経営展開を進めている。

 最近の生産量の動向については、日本ゴム精練工業会(JPMA)が今年4月の定期総会で発表された会員企業アンケートの調査結果によれば、2017年のゴム練り生産量は、黒ものが11万6916t、色ものが1万19394tとなり、合計13万6310tとなった。

2017年のゴム練り生産量

2017年のゴム練り生産量

 ちなみに、15年が11万4370t、16年が12万291tで、生産量の減少傾向が15年で底を打ち、生産量が2年連続で増加した。自動車生産台数の増加や、東京オリンピック需要などによるものが大きいと言われている。

 ただし、原材料の高騰をはじめ、物流費やユーティリティ費の上昇に伴い、コスト削減策のさらなる強化をはじめ、設備の老朽化、従業員の高齢化、若い従業員への技術伝承など、様々な課題が山積している。
 これら課題の解決に取り組むことが、各CMBメーカーにとって急務となってきている。

 CMB業界の今後は、国内の自動車生産台数の動向や東京オリンピックの終了により、先行き不透明感が強くなり、ますます厳しい環境に置かれることは容易に想像できる。その中で17年の秋口から今年のはじめにかけて、国内のCMBメーカーが相次いで子会社化された。
 具体的に挙げると、昨年12月にピストンリング国内大手のTPRがノブカワを子会社化し今年4月から社名がTPRノブカワとなり、今年2月にはデンカがCRKへの出資比率を、これまでの53%から100%へ引き上げ、完全子会社化した。TPRノブカワとCRKに共通していることは、基本となるコンパウンド事業のほかに、付加価値の高い製品を開発していることだ。
 今後の業界全体の方向性としては、海外の現地調達化などで国内市場が縮小しつつあるなか、いかにユーザーのニーズに見合う高付加価値製品の拡充ができるか、あるいは技術開発を進めることによって、どれだけ新しい商材の開発・提供ができるかが問われることになるだろう。

 

 

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