ランクセスは4月23日、中国・寧波にある同社酸化鉄顔料プラントが、中国政府より「ナショナルグリーンプラント」認証を取得したと発表した。
同社の寧波プラントは、中国の3大工業団地の1つ、寧波石化経済技術開発区に位置しており、アジアで最も環境に優しい黄味赤色酸化鉄の製造プロセスが確立されているという。
同プラントが今回取得した「ナショナルグリーンプラント」認証は、最先端の技術と環境に優しい取り組みを導入し、持続可能な社会の発展に貢献した1000の企業に対し、中国工業情報化部から授与されており、高い環境基準を維持しながら産業発展の推進を目指す、中国のグリーン・マニュファクチャリング・システム制度の重要な一環となっている。
認証を申請する企業は、環境保護や安全、省エネルギーの規制を遵し、定められた期間、無事故でなければならない。今年は、現地の経済情報委員会による事前チェックを経て最終審査のために申請書を提出したのは460社で、200社のみ認証を取得している。
同社によると、同プラントの製造プロセスは特許取得済みの技術に基づいており、有害な笑気ガスを含む窒素酸化物を従来の製造方法より大幅に減少させる。また、残存する温室効果ガスの排出は、効率の高い後処理装置によって完全に中和されるという。
同社の無機顔料ビジネスユニットの責任者は、「ランクセスは、ナショナルグリーンプラント認証プログラムを初めてかつ唯一取得した世界的グローバル酸化鉄メーカー。寧波プラントは、ナショナルグリーンプラント認証プログラムの高い基準を全面的に満たしたことで認証を取得した。これは、中国の全ての法律および規制に準拠し、エネルギー消費、CO2及び汚染物質の排出量が業界平均よりはるかに低くなっていることを意味する。さらに、製品1トン当たりの資源消費量も中国の酸化鉄業界で最も低くなっている」と述べた。また、「中国の全ての製造施設で寧波プロセスを使用すると、中国の30万世帯が年間で排出するCO2に相当する温室効果ガスを削減することができる」とも話している。
ナショナルグリーンプラント認証を取得すると、企業の評価の向上だけでなく、新規プロジェクトに対する融資や承認の簡素化、公式検査回数を減らせる利点がある。
中国では、今後5年間の経済・社会政策の「第13次5カ年計画」の下、再生可能エネルギーを促進し、環境汚染低減のための資源活用を推進している。政府の目標は、今後数年間で「中国製造2025」産業近代化計画に沿ってグリーン・マニュファクチャリング・システム制度を推進し、主要工業国に追いつくこと。厳しい環境政策により、CO2排出量を22%、エネルギー消費量を18%、淡水消費量を23%削減するとされる。また、亜硫酸ガスや窒素酸化物など主な産業汚染物質排出量を2020年までに20%削減するとしている。
同社の無機顔料ビジネスユニットは、酸化鉄顔料の世界最大のメーカーであり、酸化クロムをベースにした無機顔料の世界有数のメーカー。このユニットは、クレフェルト・ユルディンゲン(ドイツ)、ポルトフェリーズ(ブラジル)、スターポイント(米国・バーゲッツタウン)、ブランストン(英国)、ヴィラサール デ マール(スペイン)、シドニー(オーストラリア)、上海及び寧波(中国)に製造拠点を置く。2017年度の売上高が14億4000万ユーロとなったパフォーマンスケミカルズ部門に属してる。