日本ゼオンの田中公章社長は4月27日に開催した決算説明会の中で、中期経営計画「SZ―20フェーズⅢ」の進捗状況を説明した。
田中社長はフェーズⅢ初年度の17年度について「1年目の数値目標は達成し良いスタートなった」と振りかえりながらも「2020年の目標を達成するためには、次年度以降に影響する投資が遅れている」ことを総括した。
同社では2020年に連結売上高を5000億円以上とすることを目標に、11~13年度をフェーズⅠ、14~16年度をフェーズⅡ、17~20年度をフェーズⅢとして取り組みを推進。フェーズⅢでは、エラストマー素材事業と高機能材料事業のそれぞれの強みを磨き上げ、両輪でグローバルに事業を拡大することを基本戦略として掲げている。
同中計フェーズⅢの全社戦略として、①オールゼオンの強みを組み合わせる「深化」と、壁を越えて外部と連携する「探索」によって、世界中にソリューションを提供し、社会に貢献する②「重点開発領域」での新事業創出、新製品開発を加速することを挙げており、「多様な考え方を活かし、前向きに行動することを尊重する」という社内風土への改革にも取り組んでいく。
フェーズⅢの事業セグメント別については、エラストマー素材事業では「成長市場へのグローバルな対応とコスト競争力強化によって、強みを発揮できる事業を更に深化させる」「蓄積してきた市場からの信頼とお客様との関係を活かして、新たな可能性を探索し、成長に繋げる」を戦略として設定。田中社長は同事業の進捗状況として「ZSエラストマー設立」「特殊架橋タイプゼットポールの事業拡大」「ラテックス事業の拡大戦略」「SIS/石油樹脂の差別化製品投入」「パウダースラッシュコンパウンド(PSC)」を挙げ、説明を行った。
ZSエラストマーについては、昨年営業を開始した住友化学との合弁会社「ZSエラストマー」設立により、両社のポリマー変性技術と生産技術を組み合わせ、自動車の軽量化とともに、待望されているタイヤの「ウエットグリップ性」「低燃費性」「耐摩耗性」の向上の実現をしていくとした。その成果のひとつに、横浜ゴムのスタッドレスタイヤ「アイスガード6」に採用されたことを紹介した。