宇部興産の18年3月期 過去最高の経常益に

2018年05月11日

ゴムタイムス社

 宇部興産は5月10日、都内で決算説明会を開催し、藤井正幸グループCFOが2018年3月期連結決算の説明を行った。

 売上高は6955億7400万円で前期比12・8%増、営業利益は502億5000万円で同43・7%増、経常利益は507億2800万円で同52・1%増、当期純利益は316億8000万円で31・0%増の増収増益となった。

 経常利益と当期純利益は過去最高となり、藤井CFOは「化学部門の業績の立て直し・再建・復活を目指す現中計の一定の成果が出て来ている」という認識を示した。

 売上高をセグメント別に見ると、化学部門はナイロンや合成ゴムの販売価格の上昇などによりプラス約470億円、機械部門は成形機・産機の販売が堅調でプラス約184億円、建設資材部門は生コン事業が好調でプラス約116億円、エネルギー・環境部門は石炭価格の上昇が寄与しプラス約115億円などとなり、合わせて約790億円の増収となった。

 化学部門の合成ゴム事業については、原料のブタジエン価格の上昇に応じて販売価格が上昇し、また国内のタイヤ用途を中心に出荷も概ね堅調だったことにより、増収となった。

 営業利益は、化学部門の約193億円、機械部門の約18億円などが寄与し、合わせて約152億円の増益となった。

 増益を牽引しているのは化学部門の合成ゴム事業で、前期は原料のブタジエン価格の急騰により圧縮されていた販売価格とのスプレッドが、当期は拡大したことにより利益が膨らんだ。

 19年3月期の連結業績予想は、売上高が7400億円で同6・4%増、営業利益は440億円で同12・4%減、経常利益は455億円で同10・3%減、当期純利益は305億円で同3・7%減と、増収減益を見込んでいる。

 売上高については、化学部門はナイロンのスペインでの能増による拡販などによりプラス約146億円、機械部門は成形機・産機の販売増などでプラス約99億円、エネルギー・環境部門は石炭の価格上昇によりプラス約87億円と予想し、合わせて約445億円の増収を見込んでいる。

 営業利益は金額ベースで約62億円の減益を予想。セグメント別で特に大きく影響するのは化学部門のマイナス約64億円で、合成ゴム事業でのスプレッドの改善が今期は起こらないと想定しているため減益を見込んでいる。

 なお、同社の低密度ポリエチレン製品の品質検査での不正行為については、調査委員会が調査を進めており、現在までに業績見通しへの影響は出ていないが、業績への影響に関して公表すべき事項が生じた場合は適切な方法で開示することにしている。

 

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