デンカの2018年3月期連結決算は売上高が3956億2900万円、前年同期比9・1%増、営業利益は336億5200万円、同30・2%増、経常利益は314億9900万円、同36%増、親会社株主に帰属する当期純利益は230億3500万円、同26・9増の増収増益となった。
売上高は「クロロプレンゴムや電子・先端プロダクツ製品を初め、全てのセグメントで販売数量が増加したほか、原材料価格の上昇に応じた販売価格の改定により、前年比330億円の増収となり、過去最高を更新した」(山本学社長)
収益面では、ヘルスケア分野などで将来に向けた先行投資による費用負担が増加したが、販売数量の増加や交易条件の改善が収益拡大に寄与し、営業利益は前年比78億700万円増、経常利益は前年比83億4000万円増、親会社株主に帰属する当期純利益は前年比48億9000万円増となり、利益面でもそれぞれ過去最高益を大きく更新した。
増益要因としては製造経費や営業費のコストアップや先行投資負担が減益要因となったものの、出荷増による大幅な数量増が66億円、価格改定などのスプレッドの改善で25億円、円安効果で15億円がカバーし、大幅な増益となった。
エラストマー・機能樹脂部門も売上高は、1784億4400万円と前年同期に比べ267億3800万円、前年比17・6%の増収となった。クロロプレンゴムは、資源関連用途での需要回復などによる販売数量の増加や、採算是正を目的とした販売価格の改定により増収となった。。アセチレンブラックは、リチウムイオン電池や高圧送電ケーブル向けの販売数量が増加し増収。また、スチレンモノマーやABS樹脂、シンガポールの子会社デンカシンガポール社のポリスチレン樹脂等の販売も堅調推移した。
インフラ・ソーシャルソリューション部門の売上高は531億4600万円と前年同期に比べ13億2900万円、前年比2・6%の増収となった。農業・土木用途向けのコルゲート管や耐火断熱材などに使用されるアルミナ繊維は、販売数量が増加し増収。一方、セメントや肥料の販売は堅調に推移しましたが、特殊混和材の販売は前年を下回った。
電子・先端プロダクツ部門の売上高は542億7900万円と前年同期に比べ80億2700万円、前年比17・4%の増収となった。機能フィルムや、半導体封止材向け球状溶融シリカフィラー、球状アルミナは、旺盛な需要により出荷増。また、電子回路基板および高信頼性放熱プレート“アルシンク”は販売数量が増加し増収となり、LED用サイアロン蛍光体“アロンブライト”も好調な出荷が続いた。
次期業績見通しは、原燃料価格の上昇や円高影響、さらにスチレンモノマーの定修や労務費・研究開発費負担増はあるものの、電子・先端プロダクツ製品の販売数量の伸長や、クロロプレンゴム、スチレン系製品の原材料価格の上昇に応じた価格改定などにより、売上高は過去最高の4100億円、営業利益は過去最高と同水準の360億円、経常利益は過去最高の340億円の増収増益と予想し、二期連続の最高益を目指す。
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