JSRは5月16日、東京・大手町の日経カンファレンスルームで2018年度経営方針説明会を開催し、小柴満信社長が中長期経営計画「JSR20i9」の進捗状況や各事業の施策などを説明した。
小柴社長は最初に「JSR20i9」の初年度の17年度を振り返り、「業績はおおむね順調に推移した。営業利益は436億円となり、中計最終年度にあたる19年度の目標420億円を上回ることができた。ただ、これは対面市場が伸びなくても、SSBRの拡販や半導体材料のシェア拡大といった自社の要因で伸びるとの予測の下で計画したものだ。このため、17年度で最終年度の数値目標を達成できたからといって新しい計画を策定するのではなく、19年度までにやるべき課題は継続していく」方針を示した。
また、同社が長年取り組んできたABS樹脂事業の統合については、今年4月にテクノUMG社を発足させたことでようやく完結した。さらに、これまで多角化事業に含まれていたライフサイエンス事業が第3の柱として育ちつつある。これにより、「エラストマー、デジタルソリューション、ライフサイエンスという3つの事業軸を明確にすることができ、目指してきた新しい事業の形がそろってきた」と17年度に取り組んできた成果を強調した。
次に、「JSR20i9」での各事業の施策を説明した。エラストマー事業は、ハンガリーの工場立上げ費用や原料高への対応などで、18年度売上高は1950億円(前年度1974億円)、営業利益率は5%(同8%)を予測している。その中で、18年度のエラストマー事業方針に関しては、「今年稼働するハンガリー工場では新製品を出し収益に結び付けていく。黒字化したタイ工場では現在7万tの生産能力を9万t弱に乗せていく」と述べた。
また、SSBRは製品群を拡大させる中で、現在は2つのトレンドが見えるという。一つ目はEV化。EV化になると車は重くなり、モーターのトルクも強くなる。このため、タイヤの減りは速く、減らないタイヤの需要が強まっている。「当社は減らないタイヤを作るゴムを開発し、18年度から製品展開していく」と語った。もう一つはオールシーズンタイヤへの対応を挙げ、オールシーズン用のラインナップを揃えてきた。当社ではこうした市場変化に対応した材料とソリューション提案力を強化することで、さらなる競争優位性を拡大していく。
ABS樹脂事業については、18年度に売上高1000億円、営業利益95億円を見込んでいる。新会社のテクノUMGは
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