ゴムシート関連新着NEWS
企業名 | 所在地 | 新聞掲載広告 |
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タイガースポリマー | 大阪府豊中市新千里東町1丁目4番1号 | |
十川ゴム | 大阪市西区南堀江4丁目2番5号 | |
入間川ゴム | 埼玉県狭山市入間川1-15-40 | |
クレハエラストマー | 大阪市中央区久太郎町2丁目4-27 | |
日東化工 | 神奈川県高座郡寒川町一之宮六丁目1番3号 |
機能性材料の採用で新たな需要を開拓
自動車関連需要の回復に期待 価格修正も課題に
国内市場は高機能化で販路拡大
ゴムシートの需要は震災直後は復興目的の緊急対応から需要が伸び、5月頃までは順調な生産が続いたが、6月以降は需要が落ち着き、伸びが鈍化、現在は単月では前年同月実績を下回るなど厳しい環境に直面している。
日本ゴム工業会・ゴム板部会がまとめた本年上期(1―6月)の生産実績をみると、プレス製品は1万8㌧、前年同期比0・1%増とほぼ横ばい、その他製品は146㌧で同38・1%減となり、全体では1万153㌧、同0・8%減と小幅ながらマイナスとなった。一方、出荷量はプレス製品が9578㌧、同6・8%増、その他製品134㌧、同15・7%減で、合計では9712㌧、同6・4%増と、前半のプラスが寄与して前年上期実績を上回った。
シートメーカー各社は国内需要の大きな伸びは難しいとの認識のもと、事業戦略を立てている。汎用の天然ゴムシートは再生産可能な価格帯ではなく、赤字事業であることから撤退を表明した企業もあり、適正な収益体質の構築を目指した動きが本格化した。こうした中、合成ゴムなど原材料価格が再燃しており、合成ゴムシートの価格改定も今後の大きな課題になりそうだ。
「国内の市場動向をみると、震災復興需要は着実に出てくると思われるが、それは中長期的なものだと思われる。住宅や公共投資関連、鉄道など様々な需要が派生、真に求められる製品の安定供給がカギになる」(シートメーカー)とする。
自動車関連需要は一時期、自動車メーカーの大幅な減産から大きく落ち込んだが、生産体制の復旧に伴い、下期以降は着実な伸びが期待されており、シート各社も高機能パッキンなど、自動車関連部材用途の拡販に意欲を示す。
今後の製品開発の方向性については「環境対応は避けて通れない。組み付けパーツとして輸出されている製品も多く、RoHS、REACH規制への対応が不可欠」(メーカー)と指摘する。国内マーケットに関してもシリコーンゴムやフッ素ゴムなど高機能ゴムを材料とした付加価値商品の開発を各社とも積極展開、ユーザーとの共同開発も進められている。(2011年9月12日紙面掲載)
各社の現況
タイガースポリマー
食品関連用途に期待 合成シートの価格改定を検討
タイガースポリマー㈱は東日本大震災で栃木工場および仙台分室が被害を受け、従業員2名が軽症を負い、事務所や機器類に損傷などの被害が発生したが、現在は復旧が進み、生産体制も従前のレベルを確保している。ゴムシートの販売でトップシェアを有する同社の現状と、今後の事業展開を常務取締役の佐々木博営業部長に聞いた。
タイガースポリマーの2012年3月期第1四半期連結決算は、ゴムシート製品は震災の復旧や原子力発電所事故の収束に向けた需要が拡大したが、サプライチェーン寸断による自動車生産減少の影響を受け、売上高は68億6900万円、前年同期比1・3%減とわずかながら減収となり、収益面は営業利益2億6600万円で同45・7%減、経常利益は2億8100万円、同42・3%減と大幅な減益を余儀なくされた。四半期純利益は1億6200万円で同41・6%減となった。
佐々木常務
「震災後の4月、5月のゴムシート需要は2ケタ増で推移した。緊急的な震災復興需要が発生したものと思われるが、6月以降はやや陰りが表れて、前年実績を下回る状況で推移した。合成ゴムメーカーやゴム薬品メーカーが被災して材料供給面で混乱が生じたことも大きな要因だと考えられる」
こうした状況で同社の第1四半期業績は減収減益となったが、日本市場は震災からの復旧に向けた需要増により、産業用ホースおよびゴムシートは増収となった。しかしながら、自動車メーカーの減産の影響を受け、自動車部品が大幅に減少した。
米国市場は、産業用ホースが為替換算の影響を受け減収となったが、自動車生産の回復により自動車部品が増加。この結果、売上高は18億7700万円、同5・5%増、営業利益1億7600万円、同8・4%増となった。
東南アジア市場は、マレーシアでは家電用ホースが主要取引先からの受注の減少に加え、為替換算の影響で減収。タイは家電用ホース、自動車部品とも横ばいで推移。この結果、売上高は6億7900万円、同3・8減、営業利益5100万円、同18・5%減となった。
中国市場は、家電用ホースが好調に推移したが、自動車部品は需要低迷に加え、為替換算の影響で減収。この結果、売上高は4億9300万円、同2・4%減、営業利益3100万円、同58・7%減となった。
佐々木常務
「先ごろ開かれた日本ゴム工業会・ゴム板部会の会合では、現在の需要水準は決して良くないことが各社の報告で明らかとなった。公共投資関連の土木分野が引き続き不振であることや復興需要も予算がついてからの話で、早くても来年くらいになるのでは。自動車関連需要は立ち直りを示しており、今後は自動車各社の生産も震災前の水準に戻りつつあるので期待できるだろう。これに加えて建機関連が中古機の不足などが叫ばれているが、国内は今後も順調な推移が予想される」
ゴムシートはあらゆる産業で需要があり、景気のバロメータとも言われる商品であるが、同社は高機能化を追及した商品開発を加速させている。
佐々木常務
「現在開発を進めているのは食品用途向け商品だ。耐熱および食品用ガスケットやパッキン並びに放熱関係製品の領域拡大に注力していく」
同社は以前より、環境対応商品「タイエコシート」シリーズ、熱伝導EPTシート「ねつと~る」などの販売に注力している。製品仕様は「タイエコシート」が厚さ0・5~5㍉、長さは10㍍。「タイエコシート ホワイト、グリーン」は厚さ1~5㍉、長さ10㍍。
佐々木常務
「この商品は、耐侯性と耐油性を併せ持つ環境にやさしい合成ゴムシートで、DOPなどのフタル酸エステル類を使用しておらず、クロロプレンや塩ビなどハロゲン含有原料を使用していない。酢酸抽出を含む、厚生省令85号の食品衛生試験に適合している。一方の熱伝導EPTシートは熱伝導性、導電性、耐候性を有した環境対応シートで、PRTR法関連物質を使用しておらず、欧州RoHS指令6物質は使用していない」
下期も厳しい市場環境が続くことが予想されるが、通期の業績予想では、シート事業は前期比5~10%程度の増収を計画している。
なお、合成ゴムなどの原材料価格高騰を受けて、同社では天然系シートの価格改定を実施したほか、秋以降には特殊合成ゴムシートの価格改定も検討している。(2011年9月12日紙面掲載)
十川ゴム
下期の需要回復に期待 環境負荷削減を積極展開へ
㈱十川ゴムの2011年第1四半期業績は、震災影響により一部復興関連製品などの需要があったものの、自動車関連製品の落ち込みが大きく、売上高は前年同期比で多少の減収となった。
シート需要については、現在は非常に荷動きの悪い状況となっているという。しかしながら、下期に向けてはいくらか回復するものと予想し、通期では前期実績を上回ると予想している。
こうした中で、全社的な通期業績見込みについては、自動車関係が回復してきていることに加え、下期は復興に伴う製品の動きも徐々に出てくる兆しも見えてきており、年度計画を達成できるものと予想している。
シート事業は、原価に占める原材料ウェイトが大きく、そのため原材料価格動向が大きく影響する。そのため現状の経済情勢が非常に厳しいことを心に置き、常に原価低減に努めながらも原材料価格動向には十分注意し、最低限継続して生産できる適性な価格による販売を心がける必要があると指摘する。
新製品開発については「世の中の激しい情勢変化の中で、シート関係の要望も日々変化してきている。顧客の必要な機能を常に先駆けて開発を進める必要性が今後さらに重要度が増してくると思われる。従って、素早い情報入手と素早い開発着手、そして素早い開発品の上市に努める」(同社)としている。
今後避けて通れない環境負荷削減については、国内のみならず世界的規模で活発化してきており、こうした流れの中でシート製品を提供するメーカーとして、これらの基準に基づく製品造りおよび分析技術を高めていくことが使命と考えている。
主なものにRoHS、REACH規制がある。RoHSは06年7月1日以降、EU加盟国内において電気・電子機器における6物質の特定有害物質の使用制限指令を定めたものであるが、更に08年6月に追加候補案の9物質のリストが出されている。
十川ゴムでは、汎用シートは6物質の特定有害物質の使用制限指令をクリアしており、更に追加候補の9物質に関する削減にも努めている。加えて、REACH規制についてもクリアする製品開発を現時点で既に完了しているという。
REACH規制は07年6月からスタートした欧州での化学物質の総合的な登録、評価、認可、制限の制度。発ガン性、変異原性、生殖毒性に関連する難分解性、蓄積性など、人の健康や環境への影響が大きいとされる46物質が公表されている。更に12年までには106物質(群)、20年までに500物質(群)となる予定。
こうした高懸念物質(SVHC)についての材料切り替えを進めるとともに、使用化学物質の登録をメーカーとして事前に行う必要もあり、また化学物質の情報を供給者が川下使用者に伝達しなければならない。
十川ゴムでは合成の主要品番「CPL―100(CR・NBR兼用素材)」に関して最も困難と思われる物質であるDEHPの削除、代替品の置き換えに成功。12年度には「新CPL―100」(=仮称)として、特別グレードとして在庫販売を行う予定。
同社では「環境対策にはゴールはなく、他の素材への展開や更なる各国の規制変化に対応すべく素材開発に今後も注力していく」としている。(2011年9月12日紙面掲載)
入間川ゴム
上期業績は堅調に推移 最新式プレス機導入し本格展開
入間川ゴム㈱の今期の業況は、第1四半期(4―6月)は大震災直後の混乱が見られた中で、復興需要並びに加工メ ーカーなどの在庫確保などからシート製品の出荷は順調に伸びたが、第2四半期(7―9月)は駆け込み需要の反動も あり、需要は一服感を示したという。上期実績は予算対比ではクリアする見通し。
同社は経営計画「清水プロジェクト」において、前半の2年間で関係子会社の統合や拠点集約などを実施、組織面で の体制強化を図った。事業面でも厚もの天然ゴムシートなど不採算事業の縮小や製品見直しなどを行い、3年目の今期 は強固な基盤を構築し、最終2年間で新たな飛躍を目指す。
「企業体質の強化という点では、この2年間で順調に成果をあげている。今後は収益性を重視した営業展開を図り、特 殊合成ゴムシートなどの販売比率を高め、合わせて新規製品の開発、販売を伸ばしていくことが課題」(同社)。
下期の施策については、自動車生産の回復が期待されることに加え、難燃性を付加した鉄道車輌向けの特殊シート、 さらに弱電部品需要の増大に期待している。8月上旬には500㍉角のシート・成形品製造に適した最新式のプレス機を 本社工場に導入、本格生産を開始した。
「公共投資を中心とした土木建築関連需要は構造転換が進み、以前ほどの規模ではなくなった。これに代わって、市 場は小さくても高機能部品としての使われ方が増え、いかにニーズを先取りするかが生き残り策になっている」(同社)と している。下期の期待分野・商品としては「福島原発の事故から、将来的には火力発電所向けのゴムシートの需要が伸 びることが予想される。また、被災地の復興関連では都市インフラ用の緩衝材、港湾関係のシート製品などの需要増が 期待される」(同社)。
今後は海外向け製品も更に推進する方針だ。国内のコスト高を背景に自動車部品や家電・弱電メーカーの海外生産 が一層拡大していく中で、代理店経由でのシート原反などの輸出にも注力する。
通期の業績見通しについては、震災による減産などの悪影響は比較的軽微ですみ、インフラをはじめとした復興需要 に期待しており「期初見込んだ業績は確保できるだろう。拡販の成果では上ブレも期待できる」としている。(2011年9月19日紙面掲載)
クレハエラストマー
海外市場に経営資源を投入 「ヴィブラン」の品揃え拡充
放熱シート「クレクール」シリーズ化
クレハエラストマー㈱の今期の第1四半期業績は、計画予算には届かなかったが、前年同期実績との対比では2ケタ近くの伸びで推移したという。
「関東や中部地区の需要は低迷したものの震災の直接的な被害を受けなかった関西地区は特需的な要素がみられ、需要の一部は関東地区にも流れたようだ。一時的には一部の在庫が品薄になったが、津・亀山工場をフル稼動させるなど得意先への安定供給のため増産対応した。これにより原材料、配合薬品類の供給不安に対する在庫積み増しとシートメーカー値上げ前の買い込みも重なり、出荷を伸ばす結果となった」(同社)と状況を分析する。
シートの今後の需要見通しについては厳しい見方をしている。「震災関連の緊急的な復興需要が一段落し、現在は減少基調で推移している。今後、明るい気兆しの要素が見当たらず、先行きは不透明感が強い」としている。
同社は天然並板を製造しておらず、他社とは異なるフィールドで事業展開を進めているが、最近の円高傾向は海外事業を推進するうえでの大きな障害となり、より一層のコストダウンと品質アップが海外品との競争に勝つための要素になるとしている。
新製品開発、上市では吸音・制振材「ヴィブラン」シリーズの拡充を図ったほか、放熱シート「クレクール」5品種を新たにシリーズ化するなどニーズに応えて積極展開している。
「ヴィブラン」のメカニズムは音・振動・衝撃などのエネルギーを熱エネルギーに変えて抑えるもので、ゴムや樹脂、フォームなど様々な素材で供給でき、クレハエラストマーでは極薄、長尺加工にも対応し、幅広い用途、コストダウンに寄与するものと期待している。
防振用途に適した「Gシリーズ」、制振用途に適した「Sシリーズ(制振シート)」、吸音目的の「Fシリーズ(吸音フォーム)」を揃えた。これに加えて一部遮音・吸音、制振分野にわたって性能を発揮する「Lシリーズ(KEダンパー)」がある。
一方、放熱ゴムシート「クレクール」は、シリコーンゴムを素材とした低硬度の放熱シート。高い熱伝導率に加え、粘着性と柔軟性により、発熱体に密着し優れた放熱効果を発揮する。電子デバイスやLEDの熱対策用途として最適。今回、製造可能厚み0・1㍉~22㍉まで、熱伝導率が異なる5種類のグレードをラインアップした。
下期の事業展開については、これら新商品を展示会や商品説明会などの機会を利用して拡販を推進するとともに、海外販売戦略を見直して現在の海外依存度を高める方針だ。
これにより、シート事業は拡大する海外市場に経営資源を投入、5年後にはシート事業の海外依存度は現在の2倍になると予測している。(2011年9月19日紙面掲載)
日東化工
耐薬品性コンパウンドを開発 配管パッキンに最適
将来は成形品への展開も計画へ
日東化工㈱の第1四半期決算は、売上高23億4500万円、前年同期比0・9%減の小幅な減収にとどまったが、営業利益は700万円、同56・8%減、経常利益700万円、同56・8%減、経常利益400万円、同66・5%減の大幅減益となった。四半期純利益は300万円で51・6%減。
ゴム事業のうち、シート・マット製品は若干の減収となったもののゴムコンパウンド製品は新規取引先の獲得などにより販売量が増加、また成形品はクッションタイヤが堅調に推移したことなどにより、事業全体の売上高は14億9600万円で同20・1%増と2割の増収となった。
新年度の状況について同社では「シート事業は前期末からの好調を維持して予算対比ではプラスで推移し、前年実績でも1ケタ台ながらプラスを確保した。震災に関係する復興需要が反映したと推測される」(同社)。
今期の期待商品としては、EPDM系の高機能ゴムコンパウンドがあげられる。耐薬品性に関する高度なニーズが求められていたが、従来にない高度な耐薬品性を備えたゴムコンパウンドの開発に成功し、今秋よりコンパウンド販売を開始することになった。
次のステップとしては、シート販売することや各種成形品として出荷することを目指している。日東化工では各種プラントの配管パッキン用途での拡販に期待している。
また新商品として上市したNEXCO規格、JIS規格に適合のクロロプレン系防振ゴム(C・Gシリーズ)は好調に推移している。耐候性・耐オゾン性・耐熱性・耐薬品性などに優れた特性を持っており、橋梁用ゴム部品をはじめ伸縮装置用ゴム、止水ゴム、支承用ゴム材料、さらに各種防振ゴム用途として期待している。また、今回新たに車両用極難燃ゴム(BS規格合格品)を上市し、車輌向けの新素材として大いに期待している。
通期の業績予想は、売上高100億円、前期比2・9%増、営業利益8000万円、同13・1%減、経常利益6000万円、同19・2%減、当期純利益4500万円、同343・2%増を見込んでいる。(2011年9月19日紙面掲載)