不二ラテックスの2018年3月期連結決算は、売上高が79億2700万円で前期比9・6%増、営業利益は6億4800万円で同17・8%増、経常利益は5億6300万円で同11・2%増、親会社株主に帰属する当期純利益は9100万円、同76・6減となった。
売上は医療機器事業の展開する主力のコンドームについては、国内市場環境は依然として厳しい状況が続くものの、海外市場においては継続的かつ安定的な受注が確保できた。精密機器事業においては、国内外の製造関連企業を中心とした顧客ニーズに対応すべく、ハイレベルな製品開発と積極的な提案営業を展開。また、生産体制強化を狙いとした工場増設により生産設備の稼働も安定し、業績向上に大きく寄与した。
利益面では、価格競争激化、新製品販売に向けた販促費投入、設備導入による減価償却費負担や在庫評価減等の利益圧迫要因の一方、増収増産効果に加え、生産合理化と諸経費の節減に努め、増益となったが、一部事業用資産について減損損失4億9百万円の特別損失を計上したことにより、純利益は減益となった。
医療機器事業では、主力のコンドームは国内市場では依然として消費の減少傾向、価格の2極化、加えて天然ゴムに代わる新素材製品のシェア上昇傾向も続いた。天然ゴム素材製品を主体とするため厳しい展開を余儀なくされしたが、新素材コンドームSKYNに新商品を投入しラインナップを充実させた結果、増収となった。また、輸出については、日本製高品質をポイントに継続的な営業活動と生産体制構築により受注は継続的・安定的に確保した。冷却商品は定番化し売上、利益とも前年の水準を維持。
メディカル製品については、医療現場での感染防止意識の高まりやアレルギーフリー素材製品の認知度の向上につれて、超音波診断装置等のプローブカバー(感染予防製品)、内視鏡用の医療バルーンを中心として引き続き堅調に推移した。
この結果、売上高は21億9400万円、同4・6%の増加となった。セグメント損益は増産・増収効果は認められたものの、製造ライン改造途上による稼働率の低下や減価償却費負担、不良在庫の処分等により、9千5百万円の損失、前年同期は2千1百万円の損失となった。
精密機器事業では、主力のショックアブソーバおよびロータリーダンパーは、景気回復に伴い国内市場の受注は引き続き堅調に推
移した。ユーザー評価の高い主力製品の小型ショックアブソーバおよび小型ロータリーダンパーが、製品バリエーション強化と性能面の進化により、売上と利益に安定的に寄与した。主要な市場として位置付け、開拓を継続している住宅設備関連は、住宅着工件数の減少があったものの新規採用の増加等により安定的な売上を確保。半導体、液晶等の製造設備関連は中国での需要が拡大し、一般産業用生産設備向けショックアブソーバは大幅な受注増となった。また、家電、複合機関連、自動車関連の分野でも受注は堅調に推移した。一方、輸出は新たな海外からのオファーが具体化したものの、既存大手取引先の生産調整等が続き前年を下回った。
利益面については、増収増産効果によるコスト低減に加え、従来から推進している製造ラインの全自動化・半自動化をベースにした増設が生産効率化に大きく寄与したことで原価低減が実現。また、人員の適正配置を含めた生産効率化と製造経費の低減、販売費節減への継続的取り組みを行いコスト圧迫要因を吸収した。
この結果、売上高は51億円、12・9%増加となった。セグメント利益は、11億3000万円、同22・4%の増益となった。売上高、セグメント利益とも過去最高を達成した。
SP事業では、主力のゴム風船が中心となる販促用品市場はニーズの多様化が続き、景気が回復基調にある中、広告販促活動やイベント等も徐々に拡大し、加えて従来から継続している提案営業による新企画商品や主力のゴム風船およびフィルムバルーンの受注も徐々に回復し売上に寄与した。売上、利益とも回復基調にて推移した。物流の見直しにより間接コストを削減したものの、他社競合等により採算面が厳しく利益を圧迫し減益となった。
この結果、売上高は5億900万円、同1・2%の増加となった。
セグメント利益は、2千1百万円、同7・2%の減益となった。
2018年3月期通期の連結業績予想は、売上高が81億円で同2・2%増、営業利益が7億3000万円で同12・7%増、経常利益が6億6000万円で同17・0%増、親会社株主に帰属する当期純利益は4億6000万円で同400・9%増を見込んでいる。