【シリコーンゴム特集】各社新規グレード投入で需要喚起

2011年10月26日

ゴムタイムス社
[ 出稿企業 ] 2011年10月10日(3202号)掲載
企業名 所在地 新聞掲載広告
旭化成ワッカーシリコーン 東京都千代田区神田錦町2-9コンフォール安田ビル3F  
信越化学工業 東京都千代田区大手町二丁目6番1号  
東レ・ダウコーニング 東京都千代田区大手町1丁目5番1号
大手町ファーストスクエアビル イーストタワー23階
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ 東京都港区赤坂5丁目2番20号赤坂パークビル  

各社 新規グレード投入で需要喚起 ・ 新エネルギー、エレクトロニクス分野に注力

春先の値上げはほぼ浸透 自動車用需要が順調に回復

低硬度放熱シリコーンゴムシート(信越化学工業)

低硬度放熱シリコーンゴムシート(信越化学工業)

 シリコーンゴムは耐熱性や耐寒性に優れるほか、圧縮永久歪み、耐薬品性、耐候性、耐オゾン性、低温から高温まで幅広い範囲での電気特性など、優れた特性をバランスよく有しており、これまでも自動車部品や太陽電池、建材、化粧品など幅広い需要業界で採用が進んできた。
 シリコーンゴムの国内供給メーカーは、1953年以来、製造・販売を行う国産トップの信越化学工業、米ダウコーニングの日本市場の製造・販売拠点として事業展開する東レ・ダウコーニング、太田工場に技術開発拠点を持ちグローバル展開するモメンティブ・パフォーマンスマテリアルズジャパン、旭化成とドイツ・ワッカーケミーの折半出資会社で明野工場で製造・販売する旭化成ワッカーシリコーンの4社。
 シリコーンゴム各社は市場拡大が期待される、LEDや太陽電池、自動車などの分野に注力し、シリコーンゴムの優れた特性を武器に他材料からの代替を含め、各社ユーザーニーズに対応した新グレードの研究・開発により新たな需要開拓を進めている。
 シリコーンゴムの日本市場での出荷量は約18 万トン、輸入約2万トンとみられ、国内消費量は約20万トン規模とみられる。
 シリコーンゴムの需要動向は2010年には09年後半からの景気回復、自動車生産の増加とともに最大需要先である自動車分野、OA機器部品での需要が回復、LED、ソーラー向けなど新エネルギー分野での環境対応商品の新グレード投入もあり、08年最盛期レベルの水準までに回復したが、2011年に入り、東日本大震災の影響で需要環境が一変。
 シリコーンゴム各社の上期販売動向は東日本大震災以後、自動車の減産、原料供給不足などから稼働率が大きく低下したが、自動車生産の増産計画を受け、6月以降の生産は前年並みまでに回復しつつある。
 今後の需要見通しについては、2012年3月以降の自動車生産の動向、世界経済の先行き不透明感や堅調な伸びを示していた中国での需要鈍化が懸念されるとろでもある。
 また、各社は各種原料価格および原油をはじめとするエネルギー関連価格の高騰、金属珪素の需給タイトに対応、本年2月出荷分より製品価格の値上げを打ち出したが、震災をまたぎ5月以降にはほぼ浸透した。

 各社 中国市場での事業を拡大

 一方、中国市場での需要はややトーンダウンしたとは言え、中期的には高い成長が見込まれることから、信越化学工業が中国江蘇省南通市に建設を進めているシリコーンゴム製造工場が2012年3月に稼動予定であり、モメンティブ・パフォーマンスマテリアルズが08年6月から江蘇省南通に年産2万トンプラントの工場を稼働させているほか、ダウコーニングとドイツ・ワッカーケミー社との合弁による張家港のシロキサン工場が2010年から稼動しており、各社ともに中国での拡大事業戦略を進めている。

 幅広い産業分野で活躍 貢献するシリコーンゴム

 シリコーンはケイ素(Si)を主原料とする無機と有機の性質を兼ね備える合成樹脂。地球の表層を構成する成分のうち、酸素の次に多い元素がケイ素(Si)。ケイ素は、単体では自然界には存在せず、酸素と結びついてケイ石として存在している。このケイ石(Si02)を還元すると金属ケイ素・シリコン(Silicon)が生まれ、半導体ウェハなどの原料となる。そのシリコンと塩化メチルを高温で反応させてできるシラン(モノマー(単体)の有機ケイ素化合物)を加水分解して得られるシロキサンをさまざまに加工することでできる材料がシリコーン。
 シリコーンは分子間の架橋などを変更して分子構造を変えることによって、液体、弾性体、固体などさまざまな性質・形態の材料を実現し、オイル、ゴム、液状ゴム、レジン、シランに分けられる。耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、難燃性、化学安定性、撥水性、削泡性、高い光透過性など多くの特徴を備えており、電気・電子、建築、自動車、化粧・トイレタリー製品、化学など、あらゆる産業分野で使われている。シリコーンエラストマーとしてHCR(熱加硫型シリコーンゴム),LSR(液状シリコーンゴム)、LTV(加熱硬化型),RTV(室温硬化型)などがある。(2011年10月10日紙面掲載)

各社の現況

旭化成ワッカーシリコーン

自動車用部品での用途展開加速 中計で国内売上高100億目指す

自動車用プラグブーツ

自動車用プラグブーツ

 旭化成ワッカーシリコーン㈱(二宮聖社長)は自動車分野でのシリコーンゴム事業の拡大を図るべく、同社の製造開発拠点である明野工場(茨城県)に「自動車開発センター」を設置し、日本の先進的なハイブリッド車や環境対応車などに要求される樹脂化、軽量化、低燃費化に向けた次世代技術への新グレード開発に注力している。
 自動車用分野では、プラグブーツ、オイルフィルター、パッキン等に使用される汎用シリコーンゴムの他に、ハイブリッド車にみられる自動車の電子化の進展や、電気自動車などの次世代自動車用のモーター分野での特殊パッキン、コネクターシールなどでの需要が拡大している。
またスペシャリティ分野での欧州向けのディーゼルエンジン用のターボチャジャーホース、マフラーハンガーなどへの用途展開も着実に浸透している。 
 同社のシリコーンゴムをメインとするエラストマーの上期販売動向は東日本大震災直後の3月の出荷からユーザーの原料在庫確保により急回復した。
 5月には自動車メーカーの生産減により需要一服したが、その後、自動車生産の回復に伴い、自動車部品メーカーからの受注が拡大し、6月以降は自動車メーカーの下期増産計画を受けて、明野工場でのフル生産、フル販売が続いている。
OA・事務機器関連需要はメーカーの海外生産シフトの影響でやや低調気味だが、その他の型取り、電力、メディカル分野はほぼ前年並みに推移しているという。。
 また、同社では各種原料価格および原油をはじめとするエネルギー関連価格の高騰、金属珪素の需給タイトに対応、本年2月21日出荷分より現行価格の10~15%アップの値上げを打ち出したが、震災の影響を受けやや遅れたものの、5月以降にはほぼ浸透したとしている。
 一方、収益面では東日本大震災の影響でLSRの低シロキサングレード、湿式シリカグレードを生産する同社明野工場の事務棟、実験開発棟が一部被災、これら復旧費用に加え、設備更新投資が嵩み減益の見通しとしている。
 同社では2011年から2014年までの中期4カ年計画で2014年には日本国内売上高100億円を目指しており、環境と製造現場における生産性向上をキーワードに、「収益面での安定化を図り、ボリュームゾーンでの量的拡大を図る」ことで2012年には自動車用分野でのシリコーンゴムの用途拡大に加え、消泡剤、化粧品分野でのエマルジョン拡販により計画をオンラインに乗せていくとしている。
日本市場での注力商品としてはドイツワッカー本社が開発した一般工業用途向けの各種成形加工が可能な熱硬化型乾式シリコーンゴム「CENUSIL R1x0シリーズ」(セヌジル)、医療用の「シルプラン」を挙げており、熱可塑性樹脂との二色成形が可能な自己接着グレードをはじめすべてのLSRを低シロキサングレードに転換しており、これらの機能性LSRの市場拡大を図っていく。
グローバルレベルではワッカーの全工場がフル稼動であり、稼動を開始したワッカー中国工場を加え、グローバル分業体制で旺盛なシリコーン需要に対応していくとしている。(2011年10月10日紙面掲載)

信越化学工業

来春、中国・南通工場が完成予定 市場拡大に合わせグローバルに供給体制を強化

自動車エンジン回り・駆動系部品に使用されるシリコーンゴム

自動車エンジン回り・駆動系部品に使用されるシリコーンゴム

 信越化学工業のシリコーンゴム製品の上期販売動向は、東日本大震災の影響により自動車をはじめとするサプライチエーンの寸断で販売が落ち込んだが、自動車生産の回復とともに7月以降から需要が回復し、9月には前年並みまでに戻ってきたという。
 下期以降の需要見通しについては、主要用途の自動車、事務機器関連製品の生産回復で堅調な伸びが見込まれるものの、内需については円高の影響でユーザーの海外生産が進み、一部で空洞化も懸念されるとしている。
 現在、建設中の中国・南通工場は来春の完成を予定している。成形用シリコーンゴムなどゴム系製品を生産し、年産2万5千㌧の生産能力を有する。計画では、年間で約100億円の販売を見込んでおり、同社では汎用ゴムを中心に拡販を進め、順次、製品群を拡大し、中国においてもシリコーンの総合メーカーとしての強みを発揮したいとしている。
 現在、同社では「二次加硫不要型LIMS材料」、「選択接着LIMS材料」、「高速加硫型シリコーンゴム」、「帯電防止付与シリコーンゴム」など、特長ある製品を取り揃え、省エネルギー化や生産性の向上、製品の高品質化などに応える製品として注力している。
 二次加硫不要型LIMSは一般高強度タイプ、オイルブリードタイプの二種類があり、ダイヤフラム、Oリング、コネクタなどの各種自動車部品用に需要が拡大している。いずれも乾燥機による二次加硫が不要なため、工程時間の短縮、乾燥機のユーティリティーコストや使用エネルギーが削減できるのが最大の特長。 また、低分子シロキサンの含有レベルが、一次加硫のみでも二次加硫したミラブルゴムと同等のレベルになっている。さらに、低分子シロキサンを低減したことにより、成形時の金型汚れが低減し、金型のクリーニング回数を減らすことができる。
 選択接着LIMSは、プラスチックとの一体成形が可能なため、生産性の向上や成形部品の高品質化を図ることができ、自動車関連や通信機器部品などに採用されている。
 高速加硫型シリコーンゴムは、従来の約5分の1の速さで加硫するため、省エネルギー化や生産性の向上に寄与する。また、帯電防止付与シリコーンゴムは、一般成形用ゴムとLIMS材料があり、事務機器や電気・電子部品などで帯電防止を必要とする用途に採用が広がっている。いずれも、従来の帯電防止材料の①高温では帯電防止効果を持続しない②電気絶縁性の維持が難しい③色が黒色に限定されてしまうといった問題点を一気に解決している。
 また、近年、電子部品が小型化・高性能化するのに伴い、「放熱対策」がますます重要なテーマとなっている。製品は、CPUやLSIなどの電子デバイスと放熱器の間に挟む熱伝導性の材料で、パソコン、家電製品、ゲーム機器のほか、エレクトロニクス化の進む自動車の電装品やLED照明などに需要が拡大している。同社では、高硬度ゴムシート、低硬度パッド、フェイズチェンジマテリアル、両面粘着テープ、グリース、ゲル、接着剤などの各種放熱用シリコーン材料を製品化。用途に合わせさまざまな放熱課題に対応することが可能で、市場から注目を集めている。
 今後のシリコーンゴム事業について、同社では中国をはじめ、市場の拡大に合わせグローバルに供給体制を強化するとともに、シリコーンゴムの優れた特性を生かした新規用途開発を進め、販売強化を図っていくとしている。(2011年10月10日紙面掲載)

東レ・ダウコーニング

「XIAMETER®」に新グレード 小松工場の生産能力を増強 LED関連素材に注力

 東レ・ダウコーニング㈱はLED関連素材をはじめ、エレクトロニクス関連の原材料や封止材、接着剤などの最終製品を製造する同社小松工場(石川県小松市)のシリコーン生産能力の増強を進めている。
 同社では千葉工場、山北工場、福井工場、小松工場の各工場にそれぞれ国内外向けのシリコーン生産拠点を有するが、小松工場を今後のさらなる市場拡大が期待される最先端材料技術の新たな国内製造拠点として位置づけている。
 2011年5月に能力増強工事に着手しており、2012年2月から生産を開始する予定。総投資額は20億円。
 同社では、現在販売を展開している太陽電池用材料、SiC(シリコーンカーバイト)、さらに中長期的な事業戦略としてリチウムイオンバッテリー用などの次世代エネルギーを支える最先端材料に注力していく方針。
一方、シリコーンゴムではダウコーニング社の新しいビジネスモデル、「XIAMETER®」(ザイアメター)ブランドの国内販売を2010年7月から開始、指定代理店を通した販売方法で国内市場での積極拡販を図っている。
 同社では、差別化されたソリューション、新用途などを提案し革新性を追及していくダウコーニングブランドと、効率性を追及する「XIAMETER®」(ザイアメター)ブランドの2つのブランドを供給していく。「XIAMETER®」(ザイアメター)ブランド販売による効率化の推進により、オペレーションをスリム化することで、国内市場向けの新規用途開拓、研究開発に注力する計画でいる。
 XIAMETER®ブランドは、「過剰なサービスを省き、市場ベースの価格にて、高品質で信頼性の高いスタンダードシリコーン製品」を効率よく提供することができ、汎用グレード、中強力グレード、押出グレード、汎用透明グレードの4グレードを標準化。同社では新たに難燃タイプ、耐スチームグレードなど12グレードを追加しており、今後はさらなる品揃えの強化を図っていく意向だ。現在XIAMETER®ブランドは、世界96カ国以上で購入されており、同社の顧客の多くが両方のブランドを購入している。2ブランドを使い分けることで、顧客のビジネス戦略において、効率性と革新性の両方を実現してもらうのが目的だ。
 同社の2011年上期のシリコーンゴム販売は、震災以降、一時原料供給不足で影響があったものの6月以降、急速に立ち上がり、生産、販売ともに前年並みまでに回復してきた。
 自動車関連部品、情報関連機器では、リカバリー増産により順調に推移してきたが、世界経済の先行き不透明もあり、2012年度第1四半期以降の自動車生産の動向が懸念されるとしている。
 主力の自動車分野では、安全・環境・信頼に関する高度化する要求特性に対応した、ホース、パッキン、燃料系シール材、Oリング、ガスケットなどの加硫系ゴムが自動車生産動向と同様に推移。
 情報機器向けでは、携帯電話用キーパット需要がスマートフォンへの携帯端末の切り替えにより需要が大きく減少しているが、事務機器、OAロール向けは着実な伸びを見せているという。パソコン用のキーパット需要は小型化、軽量化へ対応する材料開発が求められるとしている。
 近年、注力しているエレクトロニクス分野では、LED・光学用シリコーン、熱伝導性シリコーン、半導体用シリコーン、アセンブリー用シリコーンでユーザーニーズに対応、ノートブックPCや液晶テレビのバックライト用途、自動車の内外装照明用途、一般照明用途のLED用向けのLED用封止材、ダイアタッチ材、レンズ材、ポッティング材、グリース・コンパウンド、接着剤など、幅広い製品をラインナップしている。
 また新エネルギー関連需要の用途展開にも注力しているダウコーニング社は、シリコン系太陽電池分野ではフィードストックからモジュールのアセンブリー、設置に至るまで、太陽電池の全バリューチェーンにおいてケイ素ベースのソリューションを提供できる世界でも数少ない企業。モノシラン、太陽電池パネルに使用される端子ボックス用接着剤・ポッティング材を販売、さらにEVA代替品として発電効率や生産性向上のメリットがあるセル封止材の販売に注力中。
 このほか、シリコーンゴムがキッチン用品の材料として市場で広く認知されてきた。また東日本大震災により送電・変電用インフラ見直しが進んでおり、絶縁性能、耐汚損特性に優れ、軽量化が可能で、海外で実績のあるシリコーンゴム碍子の需要の可能性が期待される。 
 需要旺盛な中国市場では2010年、中国・張家港に世界最大規模のシロキサン製造の合弁工場がオープン。
 従来から稼動している米国・キャロルトン工場、イギリス・バリー工場と合わせて、世界規模の3つのシロキサン製造ベーシック工場の稼動が実現し、顧客のニーズにあったソリューション提供能力が拡大することになったとしている。(2011年10月10日紙面掲載)

モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ

「Silplus」を日本市場に投入 世界3極でグローバル展開推進

チューブホース成形品

チューブホース成形品

 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパンはグローバルグレードとして全世界で供給しているシリコーンゴム「Silplus」(ミラブルゴム)の日本市場での販売を近く開始する。
 この「Silplus」はロール作業性、成型加工性に優れ、分出しも容易なミラブル型シリコーンゴム。汎用ゴム(MP)、高強度(HS)、押出し成形用(EX)、電線用(CW)の4タイプのグレードを有するが、日本ではまず汎用ゴム(MP)のプロモーションを開始する。ドイツ本社工場及び上海工場で生産されており、日本市場へは上海工場からの輸入製品を供給する。
「Silplus」は加硫剤およびその他の成分を適切に配合することにより、型成型、押出し成型、カレンダー成型などの各種成型方法および広範な用途での利用が可能。白金系の加硫剤でも優れた物理特性が得られるほか、圧縮永久歪みが良好、一次加硫でも優れた物理的特性が得られるなどの特長を備えている。 一般成型品、0リング、ガスケット、ダイヤフラム、ブーツ、シート、電線、チューブなど自動車、電気電子、エナジー、コンシューマーグッズ、ヘルスケア用途に適用可能。
 日本での既存用途に加え、欧州での革新的な成功事例を日本市場に展開すべく、「Silplus」をプロモーションしていくとしている。
 また、同社では、近年、環境対応商品はじめ成長市場に向けた「紫外線硬化型シリコーンゴム」や「高透明液状シリコーンゴム」などの新開発シリコーンゴムを相次ぎ市場に投入、積極拡販を図っている。
 「高透明液状シリコーンゴム」は①良好な光学的特性②良好な耐久性③ひび割れし難い④良好な流動性(射出成形及びトランスファー成形による量産性、デザイン形状の自由度が高い)などの特長を備えており、一体成形が可能でLED回りレンズで実績を有している。
 また、同社では低燃費タイヤの市場規模拡大に対応、シリカ充填率を増大させ、転がり抵抗低減に大きく貢献するグリーンタイヤ向けのシランゴム添加剤「NXT」を開発、日本の大手タイヤメーカーにサンプル出荷を開始しており、多くの引き合いを得ているという。
 足元の需要動向は東日本大震災直後、2ヶ月間は国内太田製造所の稼動が大きく落ち込んだが、販売はユーザーの在庫確保の動きにより大きな落ち込みはなく、7月以降はOEMの立ち上がりにより生産が回復したが、貯めていた在庫が吐き出されたという。
 一方、中国向けを中心に六割を占める輸出は、旺盛であった中国市場でのインフラ整備関連の需要がここへきてややトーンダウンしており、先行きの懸念材料の一つとしている。グローバル供給体制としては中国市場では、上海、江蘇省南通工場に加え、新安化工集団社と合弁による年産5万㌧能力の新工場が本稼動に入っているほか、日本の太田製造所、ドイツ、タイ、アメリカにそれぞれ生産拠点を有し、世界3極で研究開発部門を持つのも強み。
同社では「震災と円高で海外生産シフトが進む中、グローバル調達に大きく貢献できる」ことから、世界3極体制での生産品種の相互補完によりグローバーライズな取り組みを強化していくとしている。
また、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社とHexion Specialty Chemicals社が2010年10月1日付で統合したことにより、新生モメンティブはシリコーン、エポキシ、クォーツ、フェノール、アクリル、アミノ、 VErsatic酸を生産、販売する世界最大級の特殊化学品及び特殊素材企業となり、これによるシナジー効果を生かし、グローバル展開を加速さていく。(2011年10月10日紙面掲載)

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