ゴム工業会幹事会報告詳報(資材) 原油・ナフサの上昇続く

2018年05月29日

ゴムタイムス社

 日本ゴム工業会は5月24日、第14回幹事会を開催し、事務局が各種統計の報告と資料配布を行った。資材関係については原油・ナフサ価格の推移、天然ゴム相場と在庫の推移などを報告した。

 ●原油・ナフサ価格の推移

 原油相場は2017年6月の45~46ドル/バレルを底に、7月以降、OPEC等による協調減産、世界的な株高等を背景に上昇し、18年1月までの半年で20ドル上昇した。翌2月には世界同時株安、米国の鉄鋼・アルミ関税引き上げ表明等を受けて一時下落したが、その後、シリア情勢の緊迫化、米国のイラン核合意離脱問題等による地政学リスクの高まりを背景に、5月は70ドル/バレルを超える水準で推移しており、足元では北海ブレント原油、ドパイ原油が80ドル/バレル近辺まで上昇している。

 17年平均で見ると、ニューヨーク先物相場(WTI)は51・0ドル/バレルで、前年平均を7・7ドル上回り、18年平均(5月15日現在)は65・0ドル/バレルとなった。ドバイ原油の17年平均は53・2ドル/バレルで、前年平均を11・8ドル上回った。18年平均(同)では、66・7ドル/バレルへと上昇している。

 ナフサ価格についても、原油価格に連れて、オープンスペック価格が17年10月に4万2000円/kl、輸入ナフサ価格も11月に4万2553円/klとそれぞれ4万円/klを超える水準まで上昇し、さらに年末にかけて4万7000円/kl程度まで上昇した。足元ではオープンスペックが5万円/klを超える水準で推移しており、国産ナフサ価格も、18年第2四半期は5万円/kl前後まで上昇すると予想されている。

 シンガポールナフサの17年平均は53・8ドル/バレルで、前年平均を11・3ドル上回り、18年平均(同)は65・8ドル/バレルとなった。

 国産ナフサ価格の17年平均は4万400円/klで、前年平均を7600円上回った。18年平均(第1四半期)では4万7900円/klとなり、前年に比べ7500円上昇している。東京オープンスペック価格の17年平均は3万900円/klで、前年平均を8600円上回り、18年平均(同)は4万5800円/klで、前年から6800円値上がりしている。

 ブタジエンのアジア市況は、2017年6月に917ドル/tの底をつけた後、原油、天然ゴム相場に連れて反転し、9月に1500ドル/tまで上昇した。その後、天然ゴム価格の下落に伴い11月は987ドル/tまで下げたが、12月以降は原油相場の上昇を背景に再度1000ドル/t台まで上昇し、足元では1500ドル/tを超える水準で推移している。

 年平均では、16年の1184ドル/tに対して、17年は1523ドル/tとドルベースで339ドル増、円換算で42円増であったが、18年は1399ドル/tとドルベースで215ドル増、円ベースで22円増となり、上昇幅は縮小している。

 ●天然ゴムの東京相場・市中取引相場、生ゴム営業倉庫在庫の推移

 天然ゴムの東京相場は上海相場の下落に伴い、2018年2月以降下落を示し、4月に先限が183・2円/kg、当限が174・6円/kgまで下落したが、5月は原油価格に連れて反転し、足元では先限が200円/kg近辺まで上昇している。

 東京相場当限・東京相場先限・市中取引相場の17年平均は、それぞれ239・9円/kg、227・8円/kg、249・6円/kgで、いずれも前年平均を65・7円、51・9円、64・2円上回った。18年平均(同)は、それぞれ183・8円/kg、191・9円/kg、193・8円/kgで、56・1円、35・9円、55・8円下回っている。

 生ゴム営業倉庫在庫は、2017年9月の5476tを底に、10月以降大きく増加している。18年2月には1万5000tを超え、4月は14年7月以来45ヵ月ぶりに1万6000tを超える水準まで増加している。

●主要原材料の価格動向

 主要原材料の日銀企業物価指数の年間平均値の推移では、2015年を100とすると、2018年はブタジエン(124・8)、A重油(121・3)、スチレンモノマー(108・5)、ナフサ(国内価格)(104・8)、・カーボンブラック(100・9)が100を超えた一方、天然ゴム(90・2)と合成ゴム(96・1)は100を下回っている。エネルギーでは、電力は95・3、都市ガスは76・5と100を下回ったが、2017年以降上昇している。電力と都市ガスとの差は18・8ptで、17年の21・5ptから2・7pt縮小している。

 主要原材料の昨年5月から今年4月までの企業物価指数の推移については、2015年を100とすると、天然ゴムは17年11月をピークに下落し、18年に入ってから90前後で推移している。

 合成ゴムは17年8月以降100を下回る水準となっているが、18年1月以降、上昇を示しており、4月は98・5となり、12月比で5・4%増となっている。カーボンブラックは、17年5月以降95近辺で推移してきたが、18年2月に102・0と15年9月以来29ヵ月ぶりに100を超え、4月は102・9となっている。

ニューヨーク先物(WTI)、ドパイ東京原油スポット、シンガポールナフサ相場

国産ナフサ価格、東京オープンスペック価格(円kl換算価格) の推移

アジアブタジエン市況とナフサ価格(東京オープンスペック)の推移

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