日本免震構造協会は6月1日、東京・神宮前の同協会内で記者懇談会を開催し、和田章会長、沢田研自専務理事、可児長英顧問らが出席した。
和田会長のあいさつに続き、沢田専務理事が同協会の活動概要を説明し、研究助成や表彰、施工・点検技術者の認定などのほか、昨年度にインド、マレーシア、インドネシアで日本の免震基準の普及促進活動を行ったことを報告した。
次に、会員企業のデータをまとめた「免震建築物の計画推移」を可児顧問が発表した。それによると、2016年末までに計画された免震建築物は累計で4345棟(官庁853棟、民間3492棟)、免震戸建住宅は累計で4727棟、合計で9072棟となった。
16年単年の戸建てを除く免震建築物の計画数は、官・民を合わせて160棟で前年より46棟減り、3年連続で減少した。
免震戸建住宅の計画数は、340棟だった11年を最後に、12年からは毎年2桁以下で推移しており、16年は13棟だった。この要因として可児顧問は「免震戸建住宅を精力的に建築していた1社が戸建住宅から撤退したため激減した」と説明した。
16年4月の熊本地震後の免震建築物の計画数について和田会長は「熊本地震は局所的だったので11年の東日本大震災の後のような伸び方はしていない」との見方を示した。
また、04年~16年までに計画された免震建築物での免震支承の使用割合については、天然ゴム系積層ゴムが37%、鉛プラグ入り積層ゴムが27%、高減衰積層ゴムが20%、弾性すべり支承が13%となり、南海トラフ沿いの巨大地震で注目される長周期の地震動への対策となる弾性すべり支承の使用が「最近増加している」(可児顧問)傾向がわかった。