公益社団法人全日本トラック協会はこのほど、トラック運送業の長時間労働の抑制に向け、昨年11月に改正された運送約款の適正な運用を促すため、荷主に対する周知を進めていくことを明らかにした。
17年11月に改正された、荷主とトラック運送事業者との間の運行契約のひな形となっている「標準貨物自動車運送約款」は、運賃とその他の料金の定義を明確にしたもの。
具体的には、①「運賃」(=運送の対価)と「料金」(=運送以外の役務等の対価)の区別の明確化、②「待機時間料」を新たに規定、③付帯業務の内容の明確化を図った。
「運賃」と「料金」の区別の明確化では、改正前は運送、付帯業務、積込み・棚卸し、荷待ち時間などを運賃とし運賃の範囲が不明確だった。しかし改正後、運賃は運送の対価のみとし、運送以外の役務等の対価としての料金は付帯業務、積込み・棚卸し、荷待ち時間を含むこととなった。
今回の改正で、新たに規定された「待機時間料」については、荷主側の都合による荷待ち時間への対価と定義された。 付帯業務の内容の明確化は、付帯業務としての「棚入れ」、「ラベル貼り」のほか、中継地点を経由する「横持ち」や、多層階に配達する「縦持ち」、倉庫などで規則正しく積み上げる「はい作業」も明記された。
この改正により、荷主側は、運送状に「運賃」とそれ以外の「料金」を区別して記載し、運送以外の役務が生じる場合はトラック事業者にその対価となる料金を支払うことになった。一方トラック事業者は、新標準約款を営業所に掲示するほか、積込料、取卸料、待機時間料など運賃・料金表の変更届を行うことになっている。
同協会では、この改正の内容や必要な手続きなどについて、チラシの作成・配布や説明会の開催などの取り組みを行い、新約款への移行を促進してきた。今後も適正な運賃・料金の収受を普及・定着させるためには荷主の理解が必要不可欠であることから、荷主に対して運送約款の改正内容のさらなる周知を図り、適正な運賃・料金の収受への理解を進める方針だ。