原料値上げラッシュ
エラストマーの主原料である国産ナフサ価格の高騰やユーティリティコスト、物流費の上昇に対応した合成ゴムはじめ熱可塑性ェラストマー、汎用樹脂の値上げ発表が相次いでいる。三井化学が同社の合成ゴム「三井EPT」の製品価格を7月2日納入分より5円/㎏以上値上げするほか、クラレ、クレイトンがスチレン系熱可塑性エラストマーの2次値上げ、汎用樹脂メーカーが価格改定に踏み切る。
三井化学は6月11日、合成ゴム「三井EPT」に加え、タフマー(α-オレフィン共重合体)、アドマー(接着性ポリオレフィン)、ミラストマ―(オレフィン系熱可塑性エラストマー)の4製品について7月2日納入分より5円/kg以上値上げすると発表した。
同社では厳しい経済環境下、あらゆるコストダウンに懸命に取り組んできたものの、自助努力の範囲を超えるものとなってきたことから、製品の安定供給や事業の維持継続のために値上げを実施せざるを得ないとその背景を説明する。
合成ゴムについては旭化成がBR、SBRの製品価格を4月16日出荷分より、東ソーが「スカイプレン」(クロロプレンゴム CR)の製品価格を5月7日出荷分よりの値上げを実施している。今回の三井化学のEPDM、オレフィン系エラストマーの値上げ発表により、同業他社の今後の動向が注目される。
一方、スチレン系熱可塑性エラストマーについては旭化成、クラレ、クレイトンポリマーが年初発表に続き、6月4日、クラレが「セプトン」「ハイブラー」関連製品を6月上旬よりグローバルにて0・25USドル/㎏値上げする2次値上げを発表した。
クレイトンポリマージャパンも6月12日、クレイトンGSEBS、SEPSを7月1日納入分から23円/㎏値上げすると発表した。
また、主原料である国産ナフサの基準価格は、主要産油国の協調減産継続および中東情勢の緊迫化を背景に原油価格は大幅に上昇しており、為替も円安基調へ反転していることから、2018年第3四半期(7~9月)は5万7000円/kl超が想定されている。このため汎用樹脂の価格改定も相次いでいる。
ちなみに日本ポリエチレン、日本ポリプロの両社は、ポリエチレン全製品、ポリプロピレン全製品を7月2日納入分より20円/㎏以上値上げすると発表。
サンアロマーも同社が製造・販売するポリプロピレン(PP)を、2段階に分け、まず7月2日出荷分より10円/㎏以上、さらに8月1日出荷分からは3円/㎏以上値上げすると発表した。
主原料以外の副資材やユーティリティー、物流コストも上昇しており、各社はコストダウンを続けてきたものの、こうした努力も限界に達しており、このコスト上昇分を価格に転嫁することにしたとしている。