廃タイヤ、再生ゴムの輸入拡大
再生ゴムはタイヤ原料、工業用ゴム製品等に再利用され、廃棄物の発生抑制に貢献する循環型リサイルポリマー。
その再生ゴムの消費実績(経済産業省原材料統計)は2014年の2万2967tをピークに15年、16年、17年と3年連続で前年実績を下回り、2017年実績も別表の通り2万524t、前年比98・4%となった。
再生ゴム消費の約65%を占める自動車タイヤ向けは上期は横ばいで推移したが、下期以降需要ダウンし年間では1万3185t、前年比96.7%と落ち込んだ。
タイヤ向け以外のベルト、ゴム板など工業品向けは下期以降、6ヵ月連続で前年実績を上回っており、年間では7339t、同101・6%と3年ぶりに前年実績を上回った。
経済産業省ゴム製品統計による再生ゴム生産・出荷実績によると2017年の工場生産は3年連続で前年実績を下回り1万5983t、同98・3%となったが、工場出荷は1万6035t、同100・4%と微増ながら3年ぶりに前年実績を上回った。出荷金額も年間26億1000万円、同100・7%と2014年以来、3年ぶりに前年実績を上回った。
ちなみに再生ゴムの主原料である用済みタイヤ(廃タイヤ)の年間総発生量は日本自動車タイヤ協会まとめによると103万4000t。2017年の日本国内における廃タイヤ(使用済みタイヤ)の発生量は、「タイヤ取替え時」「廃車時」の合計で、本数では9700 万本、重量では 103万4000tと、前年と比較して本数で 300 万本増加、重量で3 万 7000t増加した。 タイヤ取替え時においては全体的に市販用タイヤの販売本数が増加した中で、特にトラック・バス用タイヤの販売本数の増加が顕著だった。
このうち製紙や製鉄、セメント焼成用などの熱源利用でのサーマルリサイクルは全体の63%、中古タイヤの輸出が13%、再生ゴム・ゴム粉に利用されるマテリアルリサイクル利用は11%の11万8000t、前年に比べ13%増と年々マテリアルリサイクル比率が高まっている。
廃タイヤの11%が再生ゴム
近年、国内発生分の廃タイヤだけでは熱源利用でのサーマルリサイクルの必要量を満たすことが出来ないため熱源利用先が海外から廃タイヤの切断品/破砕品を有価購入する状況が続いており、17年の年間輸入量は合計約 8万 8000t(過去最高2013年の約 11万t)と4年ぶりに前年から2 万2000t トン増加した。
一方、熱源利用先である鉄鋼メーカーの一社が廃タイヤでの熱源利用の中止を検討しているほか、廃タイヤの輸入量拡大と相まって、廃タイヤのリサイクルについては新たな動きが出始めている。廃タイヤのリサイクル率向上の観点からは新たな熱源利用先の確保とともに再生ゴム・ゴム粉のマテリアルリサイクルの推進が不可欠といえよう。タイヤのマテリアルリサイクル推進の後押しとともにリサイクル可能なゴムとしてのさらなる技術的飛躍が期待されている。
本年の需要見通しはどうだろうか。
2018年1~3月の消費動向をみると再生ゴム消費実績は工業品向けの需要がトーンダウン、生産、出荷実績は前年同期比1割弱の落ち込みとなっている。コストダウンを目的としたインド、中国からの廉価輸入品の増大も懸念され、タイヤメーカー各社のリサイクル推進、土木・建設工事関連シート、人工芝ゴムチップ需要に期待を寄せるものの年間では前期並みの横ばいを見込んでいる。
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