住友理工は6月22日、松井徹社長が名古屋大学の松尾清一総長と会談し、共同研究をさらに推進し成果を追求することを確認したと発表した。
同社は名古屋大が2016年9月に創設した指定共同研究制度を活用し、昨年4月に同大学との間で「有機材料の熱マネジメント展開に関する共同研究」契約を締結しており、今回の会談はこの共同研究契約が2年目を迎えたことを受けて行われた。
19日に名古屋大学で行われた会談には、両者から計9人が出席し、松尾総長が「新しい枠組みでの共同研究を推進いただき、感謝申し上げる。今後の研究成果に大変期待している」と挨拶し、松井社長は「次の自動車に向けた技術開発を我々が実現できるかどうかはまさに死活問題。積極的にリソースを使わせていただき、成果を出していきたい」と応じた。
共同研究に携わる大学院工学研究科・材料デザイン工学専攻の小山敏幸教授は「組織間という大きな枠組みでの緊密な連携により、短期間で成果に結びつく成功例となっている」と意義を強調し、「電気自動車のキーテクノロジーは熱。電気と同じように熱を自由にコントロールできれば、50年後の未来を先取りすることになる」と述べ、さらに研究を加速させることを確認し合った。
この共同研究には、名古屋大からは研究の代表者を務める大学院工学研究科の小橋眞教授をはじめ材料バックキャストテクノロジー研究センター所属の教員らの研究者が、同社からは基盤材料開発研究所と自動車新商品開発センターの研究員が参画し、材料技術の熱マネジメント展開を加速する包括的な共同研究として、材料開発や材料の熱物性シミュレーション、特異な材料を使った熱機能デバイス・システムの開発など年間4テーマ程度を設定して、新商品創出に必要なコア技術開発を推進している。
共同研究の背景には自動車産業が100年に一度の大変革期に直面していることがある。従来の自動車が抱えてきた熱流入・熱損失によるエネルギー損失の課題に加え、電動化が進むことでバッテリーやモーターなどから発生する熱が問題になっている。この管理を怠ると電力消費率(電費)が低下するほか、空調使用時には航続距離の大幅な低下につながることから、高効率で快適な電動車の提供には熱マネジメント技術の向上が喫緊の課題となっている。
昨年度の共同研究ではテーマごとに各々の技術課題の解決に取り組み、年度末の推進協議会で各テーマの進捗を確認し、今年度にさらに継続・推進するテーマ、変更するテーマを決定した。
共同研究の成果は、早いものでは3年後の新商品に採用されることを目指している。
同社と名古屋大学は、この産学連携をベースにモノづくりのノウハウが集積する名古屋から新たなイノベーションを創出し、次代を担うモビリティ社会の早期実現への貢献を目指すことにしている。