横浜ゴムは6月22日、同社の中国での事業の統括会社である優科豪馬橡膠有限公司が、中国の雲南省麗江市老君山自然保護区内で進めている生態系保護プロジェクト(老君山プロジェクト)の支援地域を拡大し、6月6日に新拠点での活動を開始したと発表した。
新たな支援対象は自然保護区北部に位置する黎明村で、2011年の河源村、2015年の黎光村に続き3拠点目となる。
同プロジェクトは、自然保護区内の山村の森林伐採に依存していた経済を農畜産物生産に転換することで生態系を保護するもの。中国で初めて企業が参画して経済発展を通じて環境問題を解決しようとする取り組みで、17年に中国国務院から最も環境保護の成功が見込めるプロジェクトとして国情調査の対象に認定された。
優科豪馬橡膠は、NGO組織・麗江健康環境研究センターと連携して同プロジェクトを支援しており、農畜産物生産への転換に必要な融資を行う「村バンク」の設立、設備の寄贈、販売組織の立ち上げ、子供の教育支援など村民が生産物を収益に変えることができる仕組みを整備してきた。
この8年間の活動により、河源村と黎光村で約1億666万平方メートルの森林を保護し、村バンクの運営資金は17年末には約87万元に達した。
今回、黎明村では村バンクから資金を借りる権利を得る世帯を決定し、対象エリアは同村の支援により自然保護区の北部全体をカバーすることとなり、より完全な生態系保護体制の構築を図ることが可能となる。
また、18年からは老君山に暮らす傈僳(リス)族の民俗文化伝承にも注力しており、これまでに伝統織物と民族楽器の製作工具を提供したほか、民俗研究学者による民芸品製造技術伝承のための講習会を実施し、こうした活動を通じて村民の収入源の多元化を進め、環境、経済、文化がより良く循環する形が構築できるよう支援していくことにしている。
同社グループは、CSR経営ビジョンに「社会からゆるぎない信頼を得ている地球貢献企業になる」を掲げている。