カネカは6月25日、滋賀工場(大津市)に超耐熱ポリイミドフィルムの生産設備を、またグループ会社の栃木カネカ(真岡市)に超高熱伝導グラファイトシートの生産設備をそれぞれ増設することを決定したと発表した。
投資額は合わせて約110億円で、いずれも2019年春の稼動を予定している。
IоT、AI社会の到来に伴い、急速に高性能化するデジタルデバイス、通信システムを支えるポリイミド材料への旺盛な需要に対応するために生産能力を増強するもので、これにより、超耐熱ポリイミドフィルムの年間生産能力を日本、米国、マレーシア合計で約3割引き上げ、同フィルムを原料とする超高熱伝導グラファイトシートの年間生産能力を約3倍に大幅に増やす。
同社グループは超耐熱ポリイミドフィルムから超高熱伝導グラファイトシートやそれを加工した電子部品の製造までの一貫した新製品の開発、生産・品質管理を強みとしており、今回の生産能力増強により更なる事業拡大を図る。
超耐熱ポリイミドフィルムは優れた耐熱性・耐寒性を有する高機能性フィルムで、主用途であるフレキシブルプリント回路基板(FPC)向けの需要がスマートフォンなど携帯端末の高機能化により拡大していることに加え、通信・車載・医療・工業用向けにも市場が拡がっている。
また、超高熱伝導グラファイトシートは銅の3倍に匹敵する熱伝導率を持っており、デジタルデバイス、通信システムの高性能化により、熱対策材料向けの需要が急拡大しており、今後、原材料である超耐熱ポリイミドフィルムの供給不足も懸念される状況となっている。