ブリヂストンは6月26日、タイヤの開発・製造・販売から顧客の使用過程に至る様々な情報を、独自の情報通信技術でつなぎ効率的なタイヤ生産を行うスマートファクトリー構想を発表し、これに合わせ同社が推進するデジタルトランスフォーメーションの全体像を解説するメディア説明会を開催した。
バリューチェーン全体でデジタル化に向けた技術革新を進め、「モノ売り」からソリューションプロバイダーへの転換を加速し、新興メーカーとの差別化を図る。
スマートファクトリー構想は、頭脳に当たる「BIO(ブリヂストン・インテリジェント・オフィス)」と、実行をつかさどる「BID(ブリヂストン・インテリジェント・デバイス)」という2つの独自の情報通信技術を基盤としている。タイヤの商品戦略や原材料の調達からユーザーの使用状況やリサイクルまでの膨大なデータを「BIO」で峻別・解析し、システム上で繰り返しシミュレーションすることで設備や装置を自律化させるアルゴリズムを算出して、これを生産システムを制御する人工知能(AI)を搭載した「BID」により自動的に製造工程に反映するという構想で、これにより求められる性能のタイヤを迅速に開発・製造し顧客へ提供することが可能となる。
説明会では、まず三枝幸夫執行役員・CDO・デジタルソリューションセンター担当が、デジタル改革以前の業態について、「創業から87年の間に、バリューチェーンの各機能ごとに組織、人、情報システムが全て分断され、この機能と機能の間をEメールにエクセルファイルを添付して情報のやりとりをするのが実態だった」と振り返り、「このような状態では顧客にきめ細かいサービスを競争力を持って提供できないため、デジタル改革を進めようと取り組みをスタートした」と明かした。
そして、デジタルトランスフォーメーションの導入例を2つを挙げ、まず、鉱山ソリューションでは、鉱山向け車両のタイヤに空気圧や温度を測定するセンサー「B‐TAG」を取り付け、独自のシステム「トレッドスタット」によりタイヤ情報をリアルタイムに管理し、データ解析と予測技術により、作業のダウンタイムを減らし故障を防ぐ一連のサービスを提供していることを動画を流して解説した。
次の例として、運送ソリューションでは、トラックやバスのタイヤ情報を走行中や駐車・点検時にリアルタイムで管理した上で、リトレッドして再利用する際、他社のタイヤも含め全て受け入れ検査を行い、独自のソフト「ベイシス」で廃棄率やNG理由などの情報をデジタル化し、これらの情報をカスタマイズし開発・生産に生かす一連の流れを紹介した。
このほかにも同社では、タイヤにセンサーを埋め込み、空気圧や溝の減り具合、路面状態までを判定できる「カイズ」と呼ばれる