横浜ゴム㈱は4月27日、代表取締役の異動を内定した。南雲忠信社長が代表取締役会長兼CEOに就き、後任の代表取締役社長には取締役専務執行役員タイヤ管掌の野地彦旬氏が6月29日付で就任する。新旧社長の両氏は27日、同社本社で記者会見し、南雲社長が交代理由などを述べ、野地次期社長は抱負などを語った。
今回のトップ交代は4月27日開催の取締役会で内定した。正式には6月29日開催予定の定時株主総会で取締役として選任され、定時株主総会後の取締役会決議を経て就任する予定。 南雲社長は在職7年を振り返り「2004年6月に社長に就任し、7年が経過したが、在職中に創業100周年に向けての経営計画GD100を策定、フェーズⅠが計画通りに進み、フェーズⅡもほぼラインに乗るなど、大きな変革期の中で収益を出せる体質になってきたと思う」と実直な感想を述べた。続けて「次期社長の野地専務執行役員は、人柄が良くて人望が厚く、経歴も設計を皮切りに海外事業も経験されており、社長に相応しい人物だと判断した」と交代理由を語った。 社長に内定した野地専務執行役員は「GD100は全従業員に浸透しており、活動のハタになっており、計画に沿って堅実に実行していく。リーマンショックによる世界同時不況や日本では東日本大震災による甚大な被害の発生など、予想を上回る環境変化が起こり、2017年度の目標の修正も今後考える必要に迫られるかもしれないが、タイヤ事業、MB事業ともにグローバル化が進んでおり、さらに世界市場を見ると(生産販売面で)空白の地域もあり、需要動向を見極めつつマップを埋めていきたい」と抱負を語った。 「会長兼CEOに就かれる南雲社長には今後もフォローをいただき、暴走の恐れのあるときはブレーキを、そして経営判断で躊躇しているときにはアクセルをお願いしたい」(野地氏)と、二人三脚で経営に当たることを強調した。 この点について、南雲社長も「野地次期社長は年齢も52歳と若く、10年、20年先を見て手を打ってもらえる。中核事業のタイヤ事業の管掌をお願いし、MB事業などでフォローができればと考えている」と述べた。 会見での質疑応答は次の通り。 〈CEOの役割は〉 南雲氏 社長を退任し一線を退くのではなく、若い次期社長の背中を押したり、ブレーキをかけたりと相談を受けつつ事業にあたることから、会長兼CEOとした。 〈後任社長の決め手は〉 南雲氏 企業において役員になる人の資格として重要なことは「思いやりのある人」。野地氏は生産現場において新城、三島、そして海外ではフィリピン工場もを経験されているが、とくに海外では、従業員はトップをよくみている。こうした点で、野地氏は社長に相応しいと判断した。 〈社長就任の話を聞いたときの感想は〉 野地氏 今年4月に専務執行役員に就任したが、この話を聞いたのが2月で、仮に社長の話があっても数年後だと思っていたが、直後の4月上旬に打診を受け正直驚いた。新城工場の生産本部長時代に「リーダーとはどうあるべきか」ということを学んだが、それが現在のベースになっていると思う。 〈座右の銘、趣味は〉 野地氏 座右の銘は「状況が人を動かす」。趣味はゴルフ、スキューバダイビング、水泳、乗馬。 野地彦旬氏の略歴 昭和33年10月30日生まれ、52歳。57年早稲田大学理工学部卒、同年横浜ゴム㈱入社、平成14年新城工場副工場長、16年三島工場長、19年ヨコハマタイヤフィリピン取締役社長、20年執行役員タイヤ生産本部長代理兼ヨコハマタイヤフィリピン取締役社長、21年執行役員タイヤ生産本部長、同年取締役執行役員タイヤグローバル生産本部長兼タイヤ生産HR室長、22年取締役常務執行役員タイヤ管掌兼タイヤグローバル生産本部長、23年取締役専務執行役員タイヤ管掌、現在に至る。
2011年05月09日