東洋ゴム工業は5月30日、自動車のさらなる低燃費化やEV化に必要とされる「空力特性の高いタイヤ」を実現するうえで有効な、独自の「モビリティ・エアロダイナミクス(空力シミュレーション)技術」を確立したと発表した。
空力は、自動車が走行する際に必ず受ける抵抗であり、空力を低減することは燃費性能の向上につながる。
同社が確立したモビリティ・エアロダイナミクス技術は、実際のタイヤのさまざまなパターンデザインを用いて、タイヤへの荷重や車両の走行速度といった自動車運転時の使用諸条件、また、さまざまなホイールや車体形状といった個別条件を組み合わせ、これらの条件下でのタイヤ変形を考慮した上で、タイヤ接地転動状態でのタイヤおよび車両の空力特性を解析・予測できる技術。
これによって、今後、自動車メーカーが開発車両に必要とする燃費の向上や航続距離の伸長に対して、同社はさまざまな諸条件を組み合わせながら、個別の車両に求められる空力特性を実現できるよう最適なタイヤを提案するアドバンテージを獲得することになる。また同社は、実車風洞実験結果と整合性を持つ数値風洞試験法ともいえる高精度なシミュレーションに基づいて「空力特性の高いタイヤ」を開発し、市場に供給していくことも可能となる。
個別のトレッドパターンなどタイヤの複雑な形状をもとに、実際の車両やホイールと組み合わせ、その荷重や走行速度、あるいは走行の姿勢角などによるタイヤ接地変形まで考慮して、空力特性をシミュレーションできる技術の確立は、業界でも例を見ない進展といえる。今後も「次世代モビリティをデザインする独自のテクノロジー」によって、タイヤを進化させ続けていく方針だ。