「最近は顧客企業から、(海外メーカー品を含む)他メーカー製機械とは明らかに違うねと、きちんと線引きして認識いただきつつある」。語るのは、渡辺機械製作所の渡辺社長だ。
近年、同社はゴム・プラスチック向けのプレス用機械を中心に「自動化機械」を幅広い用途向けに製造販売しつつ、「特殊用途機械」の開発にも重点を入れている。
「グローバル化でコスト競争ばかり話題になるが、当社はジャパンブランドだから達成できる高度な規格と、独自ノウハウを盛り込んだ機械制御ソフトウエアを搭載した、高機能の自動プレスマシンの開発に注力。こだわり続けて開発してきた結果、徐々に一定の評価をいただけるようになった」。
ここにきて渡辺社長がとくに重視しているのが、自社Webサイトの内容充実による「情報発信力」の強化だ。
理由は「今日、潜在ユーザーの多くが、山積する開発テーマをまえに、多くの技術課題を抱え、解決策を求めているケースが少なくない。このため、さまざまな分野のエンジニアが、ネット検索を通じて当社に相談を持ちかけてくる方が急増して」いるためだ。
こうした傾向を受けて同社では、得意分野のゴム用機械を手始めに、成形機械と自動機械とのマッチングや、樹脂用加熱成形機での実績(マックス400℃の高温加熱/急冷を実現した特殊用途の樹脂用機械)をてこに、「加熱・冷却対応型の特殊プレス機のニーズ」が今後増加すると予想。
「この種の特殊用途タイプの機械を今後の販売の柱」と位置づけている。
具体的には、従来型ゴム用機械では、温度や油圧、油量の指示や管理対応だけで済むケースが多かったのに対して、「最近は、複合材料成形や、積層成形用途に見られるように、超高温から立ち上げて、いっきに急速冷却しながら厳密な温度管理を行うと同時に、型締め圧力も可変する、客先独自の特殊成形用機械の開発依頼に対応できる体制を整えている」と、強調する。
最近の重点販売機の筆頭は「全自動真空プレス」だ。
特長は、成形条件をマルチセッティング可能な点にある。同シリーズの製品バリエーションは「新素材成形プレス(真空+加熱・冷却仕様)」「高温成形用プレス(同)」「加熱・冷却用プレス(同)」「油圧仕様自動省力化装置」「油圧式特殊裁断装置」など。
同全自動真空プレスの機能の特長は以下の通り。
①油圧の圧力・流量とプレスの位置データを取込み、タッチパネルコントローラーから任意のポイントで圧力・スピードの数値入力セッティングが可能。
②成形材料に対し最適な加圧パターンのセッティングが可能。
③プレス動作と金型分解動作を位置・圧力・スピードのデータを含め、自在に動作パターンを組み立て可能。
④温度・圧力・スピード・時間・位置データを一つの成形条件としてファイルに保存。
⑤成形条件は160型分のデータを登録・呼出しが可能。
⑥高真空度でエアー不良を防止。成形材料の歩留まりを向上。
⑦成形異常を表示。1サイクル毎の成型状態をPCにてログが可能。
⑧コンパクト・省エネ・簡易操作と安全性に配慮―など。
2011年07月04日