東洋ゴム工業は9月28日、米国とマレーシアのタイヤ製造工場の生産能力を増強すると発表した。米国工場は第5期、マレーシア工場は第2期の能増となる。
同社はタイヤ事業の20年度の売上高を昨年度実績比で31・6%増の4000億円、営業利益を同23・3%増の560億円とする業績目標を中計’17で掲げている。
この計画はタイヤ事業方針で掲げている「利益極大化に向けた事業基盤の強化」の実現に向けた施策の一つとして位置付けられ、同社が競争優位性を持つピックアップトラック/SUV/CUV用を中心とした、大口径タイヤの供給体制をさらに強化するものだ。
米国タイヤ工場(ジョージア州)には約140億円を投じて、乗用車用タイヤ換算で年産240万本規模の生産能力を持つ建屋を建設する。第1段階として、半分の年産120万本のタイヤ生産に必要な設備を導入し、再来年4月から稼働を始める予定だ。
一方、マレーシアタイヤ工場(ペラ州)については、約210億円を投資して、年産480万本規模の生産能力を有する建屋を建設。第1段階として、やはり半分となる年産240万本のタイヤ生産に必要な設備を導入する。再来年10月に稼働を開始する予定である。
さらに、同社では2020年以降の持続的成長を見据え、「中計’17」でグローバル市場への供給を念頭に置いた新生産拠点の検討を行なっており、既存工場での生産能力の増強と並行して、様々な可能性を視野に入れながら、計画の実現に向けた検討を進めていく。
米国工場は同社の収益の主軸である北米市場向けの生産拠点、マレーシア工場はグローバル供給のハブ機能を担う生産拠点である。いずれも既存工場敷地内に新たな工場建屋の建設と生産設備の導入を行ない、さらなる生産能力の向上を図る。
米国工場は高度に自動化した独自のタイヤ製造工法「A.T.O.M.」を全面的に導入し、ピックアップトラック/SUV用ライトトラックタイヤを中心とした大口径タイヤを生産し、北米市場に供給している。
ライトトラックタイヤに対する北米市場での旺盛な需要増に対応するため、これまで4期にわたって段階的に生産能力を増強し、昨秋には年産1150万本の生産能力を持つ同社最大のタイヤ生産拠点となった。第5期拡張が完成すると年産1390万本体制となる。
同社調べによると、現在、20インチ以上のピックアップトラック/SUV用ライトトラックタイヤ(W―LTR)の同社の市場シェアは、北米でトップの約40%となっている。
マレーシア工場は東南アジアに加え、欧州や日本、北米など世界市場に供給するグローバルハブ機能を果たしている。米国工場でフル活用しているA.T.O.M.の要素技術を導入し、バランスの取れた高品質で高性能な付加価値の高いタイヤを生産・供給し、マーケットから高い評価を得ている。
現工場棟は年産500万本の生産能力を持ち、これに隣接して同規模の工場棟を建設できる敷地をあらかじめ取得していた。第2期拡張計画が終了すると年産980万本体制となる。