豊田合成は7月2日、同社とイービーエム(EBM)が、電気で機能する人工筋肉「e‐ラバー」を用いて心臓の鼓動を極めて正確に再現できる手術訓練シミュレータ「SupeR BEAT」のプロトタイプを開発したと発表した。
医療現場では手術の高度化に伴い安全性の確保が重要になっており、特に心臓血管外科専門医制度ではシミュレータ等によるトレーニングが義務化されるなど、手術訓練シミュレータの需要が急速に高まっている。
こうした背景から、同社とEBM社は外科手術技能の効率的な向上に貢献するシミュレータの開発・普及に向けて2017年11月から協働している。
EBM社の現行品「BEAT」では、心臓の動きを模擬するのに形状記憶合金の熱による伸縮を用いていたが、ハイエンド版となるSupeR BEATは、電気のオン・オフに速やかに反応して伸縮するe‐ラバーを活用し、不整脈による複雑な拍動パターンや幼児の早い拍動数など様々な状況を想定して細かな動作調整が可能で、より実際の手術に近い環境が再現できる。
6月30日にEBMふくしま製造開発センターFIST(福島市)で行われた心臓外科医26人が参加した研修会の中では、同製品を使った冠動脈バイパス手術の模擬訓練が行われ、執刀した福島県立医科大学の横山斉教授から高く評価された。
同社とEBM社は、同製品の2019年秋の販売開始を目指し、更なる性能アップを図ることにしている。