BASFは7月13日、中国・広東省に化学品のフェアブント拠点(統合生産拠点)の建設を検討していると発表した。
ドイツのルートヴィッヒスハーフェン、ベルギーのアントワープに次ぎ、同社の世界3番目の規模の拠点となる見通し。
同社のマーティン・ブルーダーミュラー取締役会長と林少春・広東省常務副省長が9日、ベルリンで、ドイツのメルケル首相と中国の李克強首相の立会いの下、覚書に署名した。
広東の拠点の建設は、同社最大の投資となり、同社が単独で運営することとなっている。同社の投資額は、2030年前後のプロジェクト完了までに100億米ドルに達する見込みで、第一弾のプラントは遅くとも2026年までに完成する予定となっている。
プロジェクトの初期には拠点の中核となる石油化学プラントの建設が含まれており、年間100万tのエチレン生産を見込むスチームクラッカーは新たな統合拠点におけるバリューチェーンの出発点となる。
プロジェクトの初期以降には、より消費者志向の製品やソリューション向けのプラントを建設し、交通・自動車や消費財などの分野に対応することにしている。
化学品市場における中国のシェアは、約40%と世界最大となっており、化学品生産の成長に世界規模で大きな影響を与えている。
広東省は、主要産業や成長産業が拠点を構える地域で、人口は1億1000万人を超えており、中国で最も人口の多い地域となっている。同省の域内総生産は年率7%の成長下にあり、スペインの国内総生産を超え、韓国の国内総生産に迫る勢いとなっている。
同社は、この新拠点に最先端テクノロジーに基づく包括的なスマート・マニュファクチャリング・コンセプトを導入する予定で、将来的には中国南部に拠点を置く顧客に製品を供給する方針。
現在の同社のフェアブント拠点は、欧州2拠点、北米2拠点、アジア2 拠点の計6ヵ所となっており、このうち、中国・南京の拠点はシノペック社との合弁会社として2000年に設立、マレーシア・クアンタンの拠点はペトロナス社との合弁会社として1997年に設立している。