旭化成は7月19日、アメリカの自動車内装材メーカーであるセージ・オートモーティブ・インテリアズを約791億円で買収することを決定したと発表した。セージ社を100%保有するクリアレイク・セージ・ホールディングスとの間で合意に至った。
この取得価額にセージ社の純有利子負債を加えて算出した買収価格は約1198億円となる。
この買収により同社は、成長する自動車内装市場でのポジションを強化し、自動車分野向け事業の拡大実現を目指す。
セージ社は自動車内装材に用いる各種繊維製品の開発・製造・販売を手掛け、シートファブリック市場では世界でトップシェアを保持しており、内装材に関する総合提案力、高いデザイン力、加工技術等により、自動車メーカーや部品メーカーに対し高いプレゼンスを有している
同社はスエード調人工皮革「ラムース」をセージ社に販売しており、両社は従来より良好な関係を構築・維持している。
同社は自動車分野向け事業の拡大を加速させるためにセージ社の事業を取り込むことを検討してきたが、昨年10月より両社で協議を始め、買収の合意に至った。
買収により同社は、自動車メーカーや部品メーカーに対するアクセスを強化し、自動車市場の動向やニーズを迅速かつ的確に把握するとともに、セージ社の有するマーケティング力・デザイン力と、同社の有する繊維製品、樹脂製品、センサ等の様々な製品・技術を組み合わせ、車室空間に関する総合的なデザイン、ソリューションを提案・提供していくことにしている。
また、セージ社の営業・製造・マーケティング拠点を、同社のグローバル展開にあたっての経営インフラ・リソースとして活用する方針としている。
この買収は各国競争法当局への届出および当局からの認可取得等の必要な手続きを経て、クロージングとなる予定で、今後速やかに手続きを進め、詳細が確定次第、公表することにしている。取得価額の約791億円は、クロージング時点での現預金・借入金の残高や運転資金の増減等により変更となる。
セージ社は米・サウスカロライナ州グリーンビル市に本社を置き、代表者はDirk・R・Pieper・CEOで、事業内容は自動車内装材に用いる各種繊維製品の開発・製造・販売、資本金は8250万米ドル。設立は2009年で、生産拠点を米国、イタリア、ポーランド、ルーマニア、ブラジル、中国に置く。従業員数は約2200人。
この買収が成立した場合、セージ社は同社の連結子会社となる予定で、これに伴う同社の業績への影響については、買収完了後、必要に応じ速やかに開示することにしている。
同社は中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」において、マテリアル領域の重点分野の1つとして自動車分野向け事業の拡大を図っており、領域内横断で、自動車メーカーや部品メーカーとの関係強化、グローバル拠点の確立に取り組んでいる。
自動車産業では「CASE」(コネクテッドカー、自動運転、シェアリング、電動化)に代表される新たなトレンドによって変革が起きており、自動車分野向け事業に大きな成長機会が生まれていて、車室空間にはこれまでにない快適性やデザイン性が求められており、内装市場の中長期的な拡大が見込まれている。