コンチネンタルは7月18日、同社の取締役会が過去最大規模の組織再編成を決定し、エンジン部門を分社し上場すると発表した。これにより同社は、変化する市場をリードし、未来のモビリティの分野での新しい成長を目指す。
新しい組織は、同社が持ち株会社となりコンチネンタル・グループを形成し、この持ち株会社の傘下に、ラバー事業、オートモーティブ事業、パワートレイン事業の3つの事業グループを置く。
各事業グループに新名称を定め、この持ち株体制を2020年中に開始し、各事業を段階的に拡大強化しつつ統合する方針。
エンジンシステムなどを扱うパワートレイン事業グループは、新名称や新経営陣、独立組織化について19年初めに同社の監査役会で承認決議を行い、19年中頃に部分的新株式公開(IPO)を行う見通しとなっている。
現在のシャシー&セーフティ部門とインテリア部門は、20年初めまでに「自律運転テクノロジー」と「車両ネットワーキングテクノロジー」の2つの事業部門となり、オートモーティブ事業グループに統合される。この事業グループには新たに中央研究部を設立する。
現在のタイヤ部門とコンチテック部門は、今後も独立事業組織として継続する。この2事業はラバー事業グループを形成する。
同社のエルマー・デゲンハートCEOは「今回の組織編成により、組織的な柔軟性を高め、変化への対応速度を上げることとなる。業界トップの価値創造に向けた事業アライアンスによる最適化で、これからも挑戦を続け、今そして将来に向け高い競争力を高めていく」と述べている。
パワートレイン事業部門は新名称の下、19年初めに独立事業組織として業務を開始する。新社長には、現在インテリア事業部門のボディ&セキュリティ事業部長のアンドレアス・ヴォルフ氏が就任する予定。この事業グループは、ハイブリッドと電気駆動システム、バッテリー、内燃機関事業を展開し、先に発表した48Vバッテリーシステムの合弁会社ビジネスを継承するほか、全固体バッテリーセルの生産も視野に入れている。
ドライブシステムビジネスは独立事業組織となり、排出制限などの政治的要求に対応していく。欧州、北米、中国、日本、韓国等の主要市場、インドといった新市場における燃費規制決定の時間的差異により市場予測が困難となっており、社会や顧客のニーズへの柔軟な対応が求められる。
シャシー&セーフティ部門とインテリア部門は、市場のニーズの変化や事業成長機会を捉えつつ、20年初めまでに自律運転テクノロジーと車両ネットワーキングテクノロジーの2つの新しい事業部門に再編する。
自律運転テクノロジー部門は、自動運転や自律走行、電子制御ブレーキ、油圧式ブレーキ、スタビリティ・シャシー制御、電子制御サスペンションを含むシャシー機能を扱う。
車両ネットワーキングテクノロジー部門は、車内の接続性のほか、他車両や交通インフラ等車両外部とのコネクティビティを扱う予定。
この事業再編成により同社は、継続的な増益に向けて、テクノロジーの最先端を追求しつつ、より早く効率的に将来的なビジネス機会を発見することに注力する方針で、同社は新たなオートモーティブビジネスにより190億ユーロ(約2・7兆円)から300億ユーロ(約3・9兆円)の成長を予測している。
新設されるオートモーティブ中央研究機能は、オートモーティブ事業の再編をサポートする役割を担う。現在のシャシー&セーフティ部門とインテリア部門における開発機能と、現在のコーポレートレベルでの研究開発機能を統合し、事業部門での業務を強化する重要な役割を担う。今後、1万2000~1万5000人のエンジニアが所属し、先行研究とアプリケーションエンジニアリングに従事する。
自律運転テクノロジーと車両ネットワーキングテクノロジーの2つの事業部門には1万7000人を超えるエンジニアが加わることとなる。
現在ラバーグループを構成しているタイヤ部門とコンチテック部門は、ラバー事業グループと名称変更し、引き続きゴムおよび樹脂に基づくテクノロジー製品開発に特化する。