ミシュランは7月12日、カナダ・ケベック州マゴグに本社を置くカムソ社を買収し、両社のオフ・ザ・ロード(OTR)事業を統合してケベック州で新部門を立ち上げる戦略的パートナーシップに合意したと発表した。買収後の同社企業価値は17億米ドルになる見込みで、EBITAD(利払い・税引き・償却前利益)の8.3倍に相当する。
両社の共通する価値観およびイノベーションとR&Dの伝統と技術力をいかし、OTRモビリティにおける世界的リーダーとなる新会社を設立する。買収額は14億5000万ドル(邦貨約1609億5000万円)を予定する。ミシュランはケベック州にOTR事業の本社を置き、カムソ経営陣の知見とカナダにおけるミシュランの長年のプレゼンスを継承し、26カ所の工場と約1万2000人の従業員が事業を支える。
カムソは売上高10億米ドルの企業であり、1982年以来OTRモビリティソリューションを設計・製造・販売する。農業機械やスノーモービル用のゴムクローラー、産業運搬機械用のソリッドタイヤ、バイアスタイヤの分野で市場を牽引する小型重機用クローラー・タイヤソリューションのトップ3企業の一つで、クローラーおよび関連システムにおいて高い技術力を持ち、特にスリランカにおいて競争力の高い製造実績を誇る。同社主力ブランド「カムソ」「ソリディール」の認知度は高く、2012年以降は年平均7%の急成長を遂げている。
カムソ買収は同社に成長とコスト削減効果をもたらし、2021年までに最大で5500万米ドルの相乗効果を引き出すと予測されている。グループの財務状態は堅調で、同買収が業績に影響を与えることはないとしている。
ミシュラングループの最高経営責任者ジャン=ドミニク・スナール氏は、「ミシュランはOTRモビリティ市場におけるカムソの技術を、カムソは特殊製品市場においてミシュランが有するすべての専門的知識をそれぞれ獲得できる」と同買収の意義を強調した。