外電によると、中国商務省は先月、日本と韓国から輸入されるアクリロニトリル・ブタジエンゴム(ニトリルゴム、NBR)に対し、暫定の反ダンピング関税措置を課す仮決定を発表した。
両国の製品にダンピング行為が存在し、国内産業が実質的な損害を受けたと仮に判断した模様だ。
ニトリルゴムの日本からの輸出は、中国向けが最も多く、財務省の貿易統計によると輸出量は年間1万4000tあまりで、NBRの輸出全体の15%を占める。耐油性や加工性に優れ、ホース、ガスケット、Oリング、オイルシール、靴底など幅広く使用されており、工業用製品には欠かせない材料だ。
中国側は、7月16日から各社のダンピングマージンに応じて反ダンピング税に相当する預託金を徴収するとしており、預託金の比率は、JSRが18・1%、日本ゼオンが30・0%、その他の日本企業が56・4%、韓国企業は12・0~37・3%とされる。
この影響について、先日の各社の決算説明会でも記者の質問が飛び、JSRの宮崎秀樹常務執行役員は「仮決定よりも低い関税となるよう、努力しながら議論している。仮の数字に対して影響がどの程度かというのはコメントを差し控えたい」と述べるにとどめた。
また、日本ゼオンの平川宏之常務執行役員は「最悪、全部なくなると仮に仮定しても、それを欧米、アジアに振り分けることは十分可能と考えており、ダンピングで全く中国向けの商売がそのままなくなってしまうということはないと考えている。たとえ反ダンピング関税をかけられても、ある程度残るだろうという見方をしていて、全部が全部、消えてなくなることはないと考えている」と見解を示した。