独ランクセスは8月9日、合弁会社アランセオの全保有株式50%をサウジアラビア国営石油会社のサウジアラムコ社に売却すると発表した。両社が8月8日(現地時間)に売買契約を締結した。
この事業譲渡は、関係各国の独占禁止法規制当局の承認を前提とし、同時に従業員の代表者への情報提供と協議が進められる。両社は2018年末までに売買を完了する予定。
合弁会社アランセオの時価総額は30億ユーロで、同社は債務とその他の財務上の負債を控除後、全保有株式50%の売却額となる約14億ユーロを現金で受け取る予定となっている。
同社は、この売却で得る資金で自社の財務基盤の強化と純有利子負債を削減することにしている。
当初、同社とサウジアラムコ社は、2021年まで売却禁止期間を設定し合意していた。同社のマティアス・ツァハトCEOは「当社は今回の事業譲渡によって戦略的な事業変革を予定より早期に完了させることができる。また、中規模の特殊化学品市場において、当社のリーディングプレーヤーとしてのポジションをより強化することができ、一層の成長を目指し、事業のレジリエンスの構築、財務基盤の強化、さらに戦略上の柔軟性の向上を図る」と述べている。
アランセオは、本社をオランダ・マーストリヒトに置き、2017年度の売上高は約32億ユーロを達成、従業員数約3800人で9ヵ国に20の製造拠点を有する。主な事業は、自動車・タイヤ産業、建設業界、石油・ガス産業などの用途に使用される高性能ゴムの開発・製造とマーケティング。
同社は、2016年に設立した合弁会社アランセオに合成ゴム事業を移管し、同社の戦略的な事業再編の基盤を構築した。その後、同社は、特殊化学品の中規模市場での成長に注力し、同分野で様々な買収を進めている。2017年に買収した米国のケムチュラ社は同社にとって過去最大の買収となっている。