ドイツの特殊化学品メーカーであるランクセスは8月22日、ドローン向けの軽量化素材として高性能プラスチックを提供すると発表した。
市場調査機関ガートナーによると、17年に世界中で販売されたドローン機は対前年比約40%増となる約300万機と推定され、インフラ、運送、セキュリティー部門などがドローンを使うサービスのグローバル市場は約1300億米ドルと予測されているとしている。ニーズは一層高まっており、高性能プラスチックなど素材メーカーにとって新しいチャンスとなると同社は見ている。
本年4月に開催されたChinaplas2018において、同社のハイパフォーマンスマテリアルズ(HPM)ビジネスユニットは、ガラス短繊維で強化された「デュレタン®」(ポリアミド6)でつくられたドローンのプロペラを含む様々なハイエンド素材のソリューションを紹介した。
そのバランスのとれた素材特性によって、射出成形された部品はより軽量でありながら、優れた強度と剛性を備える。紫外線による耐老朽化性も備えるため屋外での用途にも適しているため、同社のプラスチックでつくられたプロペラは、優れた外観と長い耐用年数が魅力となっている。
翼とプロペラに加えて、同社の高性能プラスチックは、ドローン本体と着陸装置にも使用でき、ドローンの軽量化による長時間の飛行を可能にすると同時に、振動と騒音も軽減する。耐衝撃性の向上、金属素材に発生する電波障害の軽減、製造プロセスの簡易化、製品の構造デザインの柔軟性の向上などにも貢献する。
ハイテク産業の急激な発展と電機駆動系の高い需要を考慮し、同社は自社製品に大きな可能性があるとみる。高品質製品の需要に対応するため、ランクセス製品のポリアミド6、ポリアミド66およびポリブチレンテレフタレートを基に、革新的なソリューションを開発した。
同社の高性能プラスチックは、電機・電子用途、軽量化デザイン、充電設備、バッテリーソリューション、自動運転向けセンサー、モーター筐体、充電スタンドなどの電気自動車インフラなど幅広い分野で使用される。「デュレタン」ブランドで販売されるエンジニアリング素材は、広い温度範囲で機械的負荷に対して耐性を持ち、さらには、強度、強靭性、熱耐性、耐久性、老朽化耐性のメリットがある。
「デュレタン」製品群のポリアミド素材に加えて、同社は「ポカン®」(PBT、ポリブチレンテレフタレート)と「テペックス® 」(熱可塑性繊維コンポジット)ブランドで高性能素材も提供する。