【夏季インタビュー】バンドー化学 吉井満隆社長 新事業創出・育成をさらに推進 新事業推進センター開設

2018年08月24日

ゴムタイムス社

■ 夏季インタビュー

新事業創出・育成をさらに推進
新事業推進センター開設

バンドー化学 吉井満隆社長


 

 バンドー化学は今年度から2022年度を最終年とする中長期経営計画が第2ステージ(BF-2)に入った。吉井満隆社長に昨年度までの第1ステージ(BF-1)を振り返るとともに、足元の業績やBF-2に向けた取り組みなどを聞いた。

◆足元の業績は。

 18年度第1四半期の業績は、営業利益、経常利益、純利益とも目標に対する進捗率はかなり高いレベルを維持している。特に高付加価値製品への入れ替えを進めてきた高機能エラストマー製品事業が思惑通りの進展を見せ、利益に大きく貢献した。また、新事業でヒットした製品があり採算に寄与した。

 地域別では、各地域とも増収だった。昨年度は中国で自動車用ベルトや農機用ベルトなどが不買や水害などの外的要因の影響を受けたものの、持ち直し、底を打った感がある。国内はいずれの事業とも伸長した。その他の地域は比較的堅調に推移した。

◆BF-1を振り返って。

 グローバル事業戦略の強化では、アジアを中心に積極的に設備投資を行った。特にベトナムやインドの新工場は順調に稼働している。製品開発では、3割の製品を高付加価値品に入れ替え、お客様に環境対応や高効率化などを訴求する計画だったが、半分程度しか進まなかった。革新製法の導入も計画より遅れたことなどは、大きな反省点だ。

 一方、新事業創出では、ゴムやエラストマーの配合や分散、複合化により機能を発現させる当社のコア技術を活用することで、電子資材や医療・ヘルスケア機器分野などの新分野にトライする「形」が見えてきた。これはBF-1の大きな成果といえるだろう。

◆BF-2の目標は。

 2022年度の定量目標として売上高1200億円、営業利益120億円、ROE12.0%を掲げている。ただ、自動車ではEV化などに伴い、従来型のエンジンが徐々に少なくなる他、OA機器もペーパレス化が進んでおり、当社を取り巻く事業環境は大きな変化が見込まれる。こうした危機感を踏まえ、BF-2では「新事業の創出」「コア事業の拡大」「ものづくりの深化と進化」「個人と組織の働き方改革」の4つの指針を基本戦略として進めていく。

バンドー化学 吉井満隆社長◆新事業推進センターの役割は。

 4つの指針うち、新事業の創出に優先的に経営資源を配分し、この5年間で進捗させたい。その一環として、今年4月に新事業推進センターを立ち上げた。ターゲットとしている電子資材、医療・ヘルスケア機器分野で早期事業化させることが当センターの大きな役割となる。このために、高い専門性を有する外部人材の採用を含め、約70人を集結させた。今後、大学・研究機関との連携を含め、取り組みを加速させていく方針だ。

◆変革期にある自動車業界への対応は。

 EV化などの進捗度合いは国や地域で異なり、その対応は短・中・長期のカテゴリーで考える必要がある。ただ、短期的にはまだどの地域においても現行エンジンが主流であり、これまでの製品や技術に磨きをかけていかないといけない。ただし、中期的にはEV化などが徐々に進み、EPSやEPB向けの新たなベルトの需要が産まれるだろう。さらに長期的にはパワーデバイスの搭載が増える次世代の自動車向けの高熱伝導シートなどの需要拡大が見込めると考えている。

 そのためにも、当社のコア技術を有効に使うことで、どのような部品が成立するのかを常に探っていく必要があると認識している。

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