DICは8月23日、同社がセーレン、福井県工業技術センターとともに進める研究開発テーマ「自動車搭載炭素繊維複合材料用高速硬化プリプレグの実用化開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成30年度「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」実用化開発フェーズの大型研究事業に採択されたと発表した。省エネルギー効果が高い技術開発を対象として助成する事業が選ばれ、3年間(平成30~32年度)の実施完了を予定する。
同社独自の高分子設計技術を生かした高速硬化樹脂(150℃・1分以下で硬化反応が完了するラジカル硬化樹脂)と同センターが有する開繊技術(繊維の束を平らに加工する技術)と高速プリプレグ加工技術、セーレン社が有する高品質プリプレグ加工技術と品質管理技術を融合することで、世界最速レベルの製造時間短縮化を実現し、低コスト化と高品質を両立し、常温保管も可能とする量産型高速硬化プリプレグ基材の開発を目的とする。
同材料の事業化および量産化に向けた高速製造量産プロセスの開発は、材料製造と成形加工に必要なエネルギーの低減および自動車軽量化による燃費向上に貢献することで、2030年には年間9万キロリットル(原油換算値)の省エネルギー効果が期待される。
自動車メーカー各社は、燃費向上を目的とした自動車の軽量化に注力しており、軽量・強靭な炭素繊維複合材料の自動車体への活用は確実に増加傾向にある。一方、炭素繊維複合材料は高い材料費と遅い成形速度によるコスト増といった課題を抱えている。
開発三者はこうした課題を解決し、同開発品の自動車分野での採用を目指して量産化を実現すべく協力する。同開発品が炭素繊維複合材料の普及に貢献することを狙う。