加工温度では軟化して流動性を示し、使用温度では加硫ゴムと類似の特性に戻る熱可塑性エラストマー(TPE)は、軽量で成形加工性に優れることから、ポリ塩化ビニル(PVC、塩ビ)などの代替材料や、ポリプロピレン(PP)などの添加剤・改質剤として、年々需要が広がっている。
このTPEの中でも最もポピュラーなスチレン系エラストマー(TPS)を中心に、主要各社の現況を追った。
TPSは、ブタジエン系のSBSと、イソプレン系のSISのほか、これらに水素添加したSEBSやSEPSなどに大別される。
各社の注力製品としては、クレイトンポリマージャパンは水添ポリマー「新規高流動性SEBS」の各グレード、三菱ケミカルは「テファブロック」、旭化成は「S.O.E.」、クラレは「セプトン」、三井化学は「ミラストマー」などとなっている。
多様な用途の中でも各社が今最も注目しているのは自動車関連分野で、EV化に伴い求められる車の軽量化や静粛性、快適性に寄与する素材への注力を強めている。
TPE全般にわたり需要が拡大する中で、各社の差別化も進み、流動性や触感を向上させたグレード、制振性を高めたグレードや素材など、それぞれの強みを生かした展開を図っている。
自動車以外では、紙おむつ用の伸縮材料や靴底、ゴルフクラブなどグリップ類向けの素材として不可欠なものとなっており、これに