信越化学工業は9月4日、塩化ビニル樹脂(塩ビ)の国内向け販売価格を値上げすると発表した。値上げ幅は1kg当たり12円以上で、10月1日納入分から実施する。
同社は、今年4月にエチレン、ナフサを始めとした原燃料価格の急騰を理由に値上げを実施しているが、ナフサ価格はその後も相場が一段と上昇し、不安定な動きを続けた後、ここに来て騰勢を強めている。更にユーティリティや輸送のコストも上昇している。
また、既存の生産設備は操業スタートから長期間経過しており、安全・安定操業と品質の維持を継続するための設備メンテナンス費用が従来以上に必要となっている。
同社はコスト低減に努めているが、今回の原燃料価格の上昇は企業努力の限界を超えており、安定供給を維持するため改めて価格改定を実施せざるを得ない状況となった。
塩ビをめぐっては、国内外の需要が堅調に推移する一方、中国の環境規制の強化などにより供給量が減少し世界の需給が逼迫しており、価格は高値で推移している。