ランクセスは9月28日、ドイツのマンハイム拠点でジメルカプトチアジアゾール(DMTD)誘導体の合成用の製造ラインを新設すると発表した。
DMTD誘導体は、潤滑剤に添加される多機能特殊添加剤で、主に銅、ニッケル、コバルトなど、いわゆる非鉄金属を含む合金鋼と接触する潤滑油用の腐食防止剤として使われる。5月に新設した製造ラインを新たにDMTD誘導体の製造に充てることで、これらの特殊添加剤の年間製造能力を倍増させる。投資額は数百万ユーロ。
同誘導体は合金から非鉄金属イオンの溶出を防ぎ、活性の高い化学品から金属表面を保護することで、合金鋼の機能の保持および長寿命化を実現。また、高圧で極端な状況下で金属面が相互に接触する場合でも、同誘導体は金属表面に付着し潤滑油として機能する。そのため、同誘導体は腐食防止機能に加えて、極圧添加剤とも呼ばれている。さらに、これらの添加剤は、潤滑油内で活性の高い化学品の分解生成物と反応し吸収することで分解生成物が長期において素材にダメージを及ぼすことを防ぐ。これらの多機能添加剤の主な用途は、工業用油、グリース、金属加工油。
同社のアディティブス(ADD)ビジネスユニットでは、「アディティン」の商標名で世界中の顧客にDMTD誘導体を供給するだけでなく、ランクセスの添加剤パッケージにも使用している。同誘導体は最適な配合になるよう特殊な製造工程が施されているため、卓越し安定した性能を備えており、他社製品と比較しても、この添加剤は品質と性能が安定しており、臭いの刺激が少なく、透明性に優れている。同製品はマンハイム拠点のみで製造される。
今回の投資について、同ユニットの潤滑油添加剤ラインの責任者であるマーティン・ゼーヴェ氏は「新プラントは、高品質の潤滑油添加剤のニーズに応えるだけでなく、新たな顧客獲得に貢献し、また急速に成長する市場に対応するランクセスのパッケージ添加剤の更なる開発にも繋げていく」と述べている。