クレハエラストマー(大阪市中央区、田中和広社長)の18年度上半期ゴムシート事業はほぼ計画通りに推移した。また、原材料・副資材の価格高騰や物流費の上昇が予想以上に厳しく、6月1日受注分から実施したシート製品の価格改定も「お客様にはご理解を頂いた。今後もさらなる品質、サービス、デリバリーの向上に努めていく」(同社)方針だ。
製品別では、汎用シートはフッ素やシリコーン、CRなど供給がタイトな材料はあるものの、需要は堅調だ。
一方、高機能シートは前年同期比では厳しい状況にあるが、これは昨年上期が好調だったことによる部分が大きく、高機能シートの市場環境は良好だという。特に、「極薄シート」は、厚さ0・05~0・2ミリ超薄膜に加え、様々な機能を付与することでニーズの多様化に応えていきたい。ユーザーからの引き合いは着実に増えており、新規受注獲得に力を入れている。
一方、3メートル幅の超広幅ゴムシート「クレハスーパーワイド」は、従来の太陽電池関連に加え、新たな用途展開を目指している。「加工素材としての用途だけではなく、繋ぎのない超広幅ゴムシート、この強みを生かせる物件獲得に向けPRに努めている」(同社)とした。
この他、新素材として研究開発を進める「誘電エラストマー」は、ゴムシート両面に電極を付け、電圧を加えることで伸縮する特性を持つエラストマーで、各種センサー機器などへの利用を見据え、現在は産官学と連携しながら研究開発に取り組んでいる。
18年度下期は「上期の堅調な流れが続く」(同社)と見て、通期も計画達成に向け販売の強化を図っていく。
ただ、企業の海外移転が加速する中で、数年先の国内市場を予想すると、新製品を提案し続けないと厳しい。そのためにも汎用シート・高機能シート両面で新しい用途、新しいユーザーを掘り起こす「オンリーワン製品」を開発する必要があると考えている。
また、REACH規制や来年7月のRoHS2・0指令施行を踏まえ、同社もフタル酸エステル類を使用しない「環境対応シート」への切り替えを進めており、汎用シートは既に完了しているが、現在は難燃性シートなど特殊な用途で使われる材質などでも脱フタル酸へ切り替えを進めており、来年3月までに合成ゴム全材質で環境対応シートに置き換えが完了するとしている。[/hidepost]
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