独ランクセスは10月24日、ポリアミド66コンパウンドの代替素材として利用が可能なポリアミド6の新製品群「デュレタン・パフォーマンス」を発売すると発表した。
これは、特に車のボンネット下にあるプラスチック部品において、繰返し機械的負荷に対する長期耐久性が求められていることを受け開発したもので、同製品の各種グレードは、脈動荷重下での疲労に対して、同じガラス繊維含有量の標準品よりも数倍の耐久性がある。
今回新規投入を予定している製品群は、ガラス繊維をそれぞれ30%、35%、40%含有する熱安定性を備えた「デュレタンBKV30PH2・0」、「BKV35PH2・0」、「BKV40PH2・0」のコンパウンド、およびガラス繊維30%で耐衝撃性を強化した「デュレタンBKV130P」コンパウンド。
開発専任者であるトーマス・リンダー博士は「新製品は、吸気システムやオイルフィルタモジュール、またはサイドブレーキなど、自動車向け用途をターゲットにしている。ドリルやグラインダーといった電動工具のハウジングや構造部品の用途としても大きな可能性を秘め、また、耐衝撃性を備えた製品を用いて家具のロック機構部品などを製造することが可能となる」と述べている。
この新素材は、動的挙動に加えて静的な機械特性も向上しており、同じガラス繊維含有量の標準品と比べ高温時の引張強度が上がる。リンダー博士は「ポリアミド6をベースとするデュレタン・パフォーマンスは、多様な場面で近年非常に高価となったポリアミド66コンパウンドの代替素材となる。ガラス繊維の含有量を増やさずに代用できるため、素材の高密度化や部品の重量化を伴うことがない」と説明している。
同社は軽量構造部品に似せたデモ部品を用いて開発材料の動的挙動を研究しているほか、正規評価用の試験片を用いて3点曲げ疲労試験も実施し、デュレタンBKV30PH2・0は2・75kNの曲げ荷重において標準の30%ガラス強化ポリアミド6の約3倍の耐用年数を示したとしている。
同社はこの新製品群のさらなる拡充を計画し、50%と60%のガラス繊維で強化した2つのコンパウンドが発売間近となっている。