自然には分解しないため動植物をはじめ環境への悪影響が懸念されるプラスチックごみ問題を背景に、脱プラスチックをめぐる動きが活発だ。
環境省が先月提示した審議会の小委員会の資料によれば、1950年以降に世界で生産された83億tのプラスチックのうち63億tが廃棄され、回収されたプラスチックごみの79%が埋め立てか海などへ投棄されている。現行のペースで進むと、2050年までに120億t以上のプラスチックが埋め立てか自然投棄され、2050年には海の中のプラスチック量が魚の量を上回るという。この状況を受け、使い捨てプラスチックの法規制がフランス、イタリア、イギリス、台湾で導入間近だ。
日本でも外食大手でストロー廃止など脱プラスチックの動きが広がる中、生分解性プラスチックといった代替素材に注力する原料メーカーが相次いでいる。
三菱ケミカルは、植物由来の生分解性プラスチック「BioPBS」の用途展開を加速させている。微生物が分解するため環境負荷が少ないことを訴求し、日本パルプ商事の紙コップの内面ラミネートに採用されたほか、ストローの試作品を完成させ大手ファーストフードチェーンなどに素材の価値をPRしており、需要の拡大を図っている。
カネカは、生分解性プラスチック「カネカ生分解性ポリマーPHBH」の能増を決め、来年12月には年産5000t体制となる計画だ。同製品はヨーロッパで果物・野菜袋やコンポスト袋向けに販売が増え、海洋資材や食品包装など幅広い用途での需要増が期待されることから、「生分解性プラスチックの世界需要が2022年に100万tを超える」(同社)と見込んでいる。
GSIクレオスは、