日本ゼオンの田中公章社長は10月31日に開催した決算説明会の中で、中期経営計画「SZ―20フェーズⅢ」の進捗状況を説明した。
田中社長はフェーズⅢ2年目の18年度上期について、「半期の売上は過去最高となったが、利益面は減益となった」と振り返り、2020年の目標売上5000億円を達成するためには「さらなる投資準備が必要になってくる」と方針を示した。
17~20年度の4ヵ年を期間とするフェーズⅢでは、全社戦略として、①オールゼオンの強みを組み合わせる「深化」と、壁を越えて外部と連携する「探索」によって、世界中にソリューションを提供し、社会に貢献する②「重点開発領域」での新事業創出、新製品開発を加速することを挙げており、「多様な考え方を活かし、前向きに行動することを尊重する」という社内風土への改革にも引き続き取り組んでいく。
エラストマー素材事業では「成長市場へのグローバルな対応とコスト競争力強化によって、強みを発揮できる事業を更に深化させる」「蓄積してきた市場からの信頼とお客様との関係を活かして、新たな可能性を探索し、成長に繋げる」を戦略として設定。
田中社長は同事業の戦略として、「SSBRにおいて技術・生産のシナジー効果により、世界のリーディングカンパニーを目指す」方針と、タイにアクリルゴムの新工場を設立するなどし、「アジアでの生産体制を強化する」方針を実施したと報告した。
SSBRの戦略については、昨年営業を開始した住友化学との合弁会社「ZSエラストマー」設立により、両社のポリマー変性技術と生産技術を組み合わせ、自動車の軽量化とともに、待望されているタイヤの「ウエットグリップ性」「低燃費性」「耐摩耗性」の向上の実現を目指していく。「今後は高い性能を両立した2種類の試作品をサンプル展開していく。評価試験を経て、採用につなげていきたい」。
アジアでの生産体制の強化では、「アジアでは内燃機関搭載車の需要が続くだけでなく、ターボ搭載車の比率が高まると予想し、タイにアクリルゴムの製造販売会社を設立することを決断した。アジアでの更なる販売拡大につなげていく」方針を示した。2020年春を目途に、年産5000tで製造を開始する予定。
一方、高機能材料事業については「重点的なリソース投入