住友ゴム工業が協賛している展示会「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」の開会式が10月26日、兵庫県立美術館で開催された。
同展示会はポスター作家レイモン・サヴィニャックのポスター、原画、写真など約200点がフランスから一堂に集められた企画展。サヴィニャック氏の代表作品の一つであるダンロップのポスターも展示されている。
開会式には兵庫県知事はじめ、住友ゴム工業CSR推進室の河合良成課長らが出席した。
開会式で兵庫県立美術館の蓑豊館長は「住友ゴム工業様に協賛して頂き、エントランスに撮影コーナーができた。皆さんに写真を撮り、SNSに投稿してもらい、様々な所に宣伝効果を出してもらえるとありがたい。たくさんの人が美術館に来てくれるように努力していきたい」などとあいさつした。
美術館エントランスには、サヴィニャックの「ダンロップタイヤ」のドライバーになりきろう!と題した写真撮影コーナーが設置された。
同コーナーは、サヴィニャックの代表作品の一つである「ダンロップタイヤ」のポスターと同じポーズで写真を撮ることができるもの。中央の透明の椅子に座り、ポスターの人物と同じポーズと画角で写真を撮ることにより、ポスターのドライバーになりきって記念撮影をすることができる。
この企画は、住友ゴム側から美術館側に提案された。企画の発案者でもある広報部の山田真実氏は「当初はタイヤを美術館に持ち込んでいいのかという思いもあり、中々アイデアを切り出せなかったが、自作したイラストを見せ、説明した所、大変面白いと言って頂いた」と経緯を説明した。
美術館ではSNSでの宣伝を重視しており、常に顔出しパネルなどを設置し、SNSでの拡散、集客に努めていた。今回、よく見られる顔出しパネルでなく、SNSでの拡散も見込める撮影アイデアに、美術館側も大いに喜んだという。
企画が決定した後には、そこから、イラストを発注し、タイヤの大きさを測り、ポスターとなるべく同じようなサイズのエナセーブEC204を採用するなど、準備を進めた。
撮影スペースには、タイヤ4本とスペアタイヤ1本に透明な椅子が配置されているだけなのだが、設営には5時間以上かかったという。
山田氏は「どの角度から撮ったら、ポスターと同じ写真が撮れるかに苦心した。ポスターと同じ画角を追求した結果、通常のタイヤの配置ではポスターのような配置にはならないことが分かった。左右のタイヤを少しずらして配置するなど、美術館職員の方と一緒にポスターと見比べながら微調整を加えることで、再現度は高くなった」と自信を覗かせていた。
また、撮影コーナーが設置されたことについては「企画した事が現実になってうれしい。タイヤを使った撮影コーナーがどんな仕上がりになるのか不安もあったが、美術館職員と一緒に試行錯誤しながら設営し、最後にサヴィニャックのサインを入れ終えた時には歓声が上がった。企画を提案したのが開会式の2週間前。何とか間に合わせようと業者の方と美術館に飛んで行って現場確認や打ち合わせをしたこともあったが、そういった勢いと様々な方の協力のおかげで実現した」と話していた。
また、関連イベントとして12月15日に小学5年生以上を対象とした「ダンロップものづくり教室」を同美術館で開催する。教室では、「まわって 起き上がる 不思議なロボットを作ろう」をテーマに、図面をたよりに、倒れてもひとりでに起き上がるメカ工作キット「スクローラーⅡ」を作る。
レイモン・サヴィニャックは20世紀後半に活躍したフランスのポスター作家。それまで主流だった装飾的な要素をなくし、シンプルかつ陽気な作品で戦後ポスターの歴史に新たな時代を開いた。身近な食料品や日用品など数多くの広告を担ってきたサヴィニャックのポスターは、パリにとどまらず世界中の人々に今もなお愛され続けている。