帝人は12月10日、不足しがちな食物繊維を手軽に摂取できる発酵性食物繊維「イヌリア」の販売を開始すると発表した。
水溶性食物繊維の代表的な素材であるイヌリンは、オランダの食品素材メーカーのセンサス社が世界シェア2位を占めており、帝人は日本におけるイヌリンの独占販売契約をセンサス社と締結している。帝人は、国内において「イヌリア」ブランドでの展開を図っており、そのマーケティング活動の加速のため同素材を使用した自社製品の販売を開始することにした。
イヌリアは、オランダ産チコリの根を抽出して製造され、高い腸内発酵力を有しており、鎖長の異なる複数のラインアップにより幅広い用途に使用することができるほか、自然の甘みを活かして砂糖代替や脂肪代替として用いることができ、カロリーを抑え、かつ食物繊維が摂取可能な飲料や食品の設計を可能にする。
厚生労働省が実施した国民健康・栄養調査によると、日本人の食物繊維の平均摂取量は減少傾向にあり、2011年には1952年に比べて30%以上減少している。2016年の1日当たりの平均摂取量は13・6g程度とされており、健康増進法で設定されている男性20g、女性18gという目標量に対して大きく不足している。
こうした中、主にキク科の植物であるチコリなどから作られる、水溶性食物繊維の一種であるイヌリンは、水に溶けやすく、飲料や食品に容易に使用できることから、現代の日本人に不足している食物繊維を手軽に摂取できる食品素材として期待されている。