大陽日酸は12月13日、100%子会社である米マシスン・トライ―ガス(以下「マシスン」)を通じて、ドイツのリンデAG子会社であるリンデ・ガス・ノース・アメリカ(以下「リンデ・アメリカ」)が米国で行っているHyCO事業の一部並びに関連資産を買収する契約を同日締結したと発表した。
HyCO事業とは、天然ガス等から水蒸気改質装置(以下「SMR」)などで分離される水素(H2)・一酸化炭素(CO)を、石油精製・石油化学産業などにパイプラインを通じて大規模供給する事業。
2017年6月1日付けで、リンデAGはPraxairと合併することで合意した。2018年10月22日に、米国連邦取引委員会はリンデAGが同社の米国事業の一部(HyCO事業の一部を含む)を第三者に譲渡することを条件に、リンデAGとPraxairの合併を承認した。今回、マシスンは米国内の5ヵ所でのHyCO事業並びに関連資産を買収する契約をリンデ・アメリカと締結した。
取得価額は4億1307万米ドル(約468億円)で、取得完了日に取得価額を現金にて支払い。支払時点では短期のブリッジローンで調達し、取得完了後、速やかに長期借入に借り換える。取得完了は米国連邦取引委員会の承認を得次第となる。
同社は中期経営計画「Ortus Stage2」での戦略として、M&Aを活用したガステクノロジーの領域拡大を目指しており、製品ラインナップ拡充による提案力強化の観点から、HyCO事業への本格的参入を検討していた。今回の買収によりこれが実現し、同社グループとして「H2・COのオンサイト供給による中長期での安定的な収益を獲得」「HyCO事業の効率的な運営を可能とするリソース(人・技術)を獲得」「米国での新規オンサイト需要(石油精製、石油化学など)での提案力強化」という効果が期待できるとしている。
なお、同件に伴う同社の2019年3月期連結業績への影響額については、買収手続き完了後に精査の後、あらためて発表予定するとしている。