年頭所感 アキレス 伊藤守取締役社長

2019年01月09日

ゴムタイムス社

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

 昨年は自然災害が各地で相次ぎ、まずは被災に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げ、また犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表します。そして一日も早い復旧・復興を心より願っております。

 昨年を振り返りますと世界情勢では、米国トランプ政権によるアメリカ第一主義に基づく政策展開は、同盟国に混乱をもたらすと共に、WTOルール遵守の規律が乱れたことは否めません。一方、経済大国世界第2位の中国では、習近平体制への権力集中が進みました。この米中間においては、中国による知的財産権の侵害に対する対抗措置としての中国製品への制裁措置を発端とした米中通商摩擦は、世界市場を震撼させました。欧州においては、イギリスのEU離脱問題やイタリア・トルコ財政問題、フランスでは、政府への不満から暴徒化する事件も発生しました。新興国では、米国の金融引き締めに伴う金利高による経済への影響が懸念され、中東では、世界屈指の原油産出国であるカタールのOPEC脱退表明やサウジアラビア情勢等、依然として不透明な状況にあります。

 我が国においては、自民党総裁選で安倍首相が3選を果たし、3期9年目を迎えました。一方、環境面では、地震、台風、猛暑や豪雨といった自然災害が各地で相次ぎ、多くの方々が避難生活を強いられるなど苦難の年でありました。

 我が国経済は、個人消費が堅調に推移し、設備投資ではAI(人工知能)等の省力化ニーズや五輪・インバウンド関連の投資が押し上げ、バブル期以来となる8四半期連続増加となりました。輸出においては、産業用ロボットが大きく牽引し、全体的に増加基調にあります。景気拡大期間の長さは、高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超え現在も続いており、地政学要因による下振れリスクはあるものの、底堅い内外需を背景に景気拡大が期待されます。

 このような経済情勢の中、産業に目を向けますと、第4次産業革命としてIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、ロボット産業における技術革新は、産業界の勢力図を大きく塗り替えました。一方、依然として大手企業によるデータ改ざんや品質管理の不正等が後を絶たず、日本の製造業の「ものづくり」の信頼性を大きく揺るがす不祥事が相次ぎました。

 当社における事業環境としましては部門により異なりますが、厳しい状況が続いており順風満帆な事業は多くありません。しかしながら、厳しい状況にあるからこそこれを真摯に受け止め、この逆風の時こそ成長の機会があると信じ、感度を高め、お客様の声を丁寧に拾い上げ、スピードを持って事業改革に今後も取り組んで参りたいと考えます。その機会が、来たる2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催であり、世界中の人々にご納得頂ける製品を発信する大きなビジネスチャンスと捉え、弊社のアイデアと技術を結集した製品を積極的に提案して参ります。また、今年は平成最後の年となり、5月からは新たな元号に変わります。10月には消費税増税が予定されており、これらの対応につきましても抜かりない準備を進めて参ります。同時に、企業における不祥事が後を絶たない中で、自社の成長戦略や経営改革の一環として、コーポレートガバナンス・コードに対応した経営をより強靱なものにしていく事が今後も問われており、緊張感を持って取り組んで参りたいと考えます。

 メーカーとしての基本である新商品開発、品質改善、コストダウン、新規得意先開拓、業務の効率化、そしてAI(人工知能)等の技術革新が進む中で、生産性をどのように高めて行くか等々、まだまだやるべき事は山積しています。そのためにも当社グループは、原点回帰し、「社会との共生」=「顧客起点」の企業理念のもと、お客様が求める真の満足と感動をいただける製品の創造とサービスの提供を通して、豊かな社会の実現に貢献して参ります。

 皆様方のご厚情にお応えするためにも、新年を迎えるにあたり「ブランド力の強化」「人材育成」「グローバル化の推進」「スピード」をキーワードとして、持続的な成長と企業価値の増大を目指します。そして、グローバルな視点で見た優位性を活かすと共に、独自技術を発揮した製品開発に注力し、社会から求められる企業集団として最善の努力をして参ります。変化する世界経済、そして当社を取り巻く経営環境も速く大きく変化する中で、既存の価値観に捉われず「革新」を起こし、お客様の立場に立った「ものづくり」「サービスづくり」を通じ、魅力ある製品・サービスをご提供させていただきたいと思います。

 引続き、当社製品への変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げますと共に、新年にあたり、皆様のご多幸とご繁栄を心よりお祈り申し上げます。

 

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