■ 新年インタビュー
新事業創出と現場力向上に注力
住友理工 松井徹社長
「新事業・新規顧客創出」、「モノづくり革新」、「グローバル経営基盤強化」の3点を経営戦略に掲げ、グローバル展開を加速させている住友理工。松井徹社長に18年を振り返ると共に、海外状況、中期経営ビジョン「2022年 住友理工グループVision」(2022V)の進捗状況、今後の事業戦略などを聞いた。
◆18年を振り返って。
売上は比較的順調に伸長しているが、利益は当初の計画通りには進んでいない状況だ。
自動車関連では、北米での人員不足の影響による生産性の低下により、業績が落ち込んだ。欧州もディーゼルの認証試験の方法が変更されたことにより、前半は好調だったが、後半は試験が間に合わず、落ち込みが目立った。中国は自動車販売台数の減少が懸念材料としてあるが、日系メーカーは好調を維持しているので影響は少ない。一般産業用品では、中国で引き続きインフラ関係などが好調を維持しているが、国内ではプリンター関係のエレクトロニクス分野が下期に入り減少傾向となった。
◆19年度の需要見通しと経営課題について。
19年は米中貿易問題をはじめ、欧州でもイギリスのEU離脱、フランスのデモなど不透明な政情が続き、予想がしにくい状況だ。
東南アジアは比較的好調だが、南米はアルゼンチンの通貨安などの影響を懸念している。今年は北米の事業を早期に立て直すことを全社的な課題として取り組んでいく方針だ。
北米事業の立て直しは、人員が確保できれば安定的な生産が見込めるため、人員を確保することがポイントとなる。有期での雇用ではなく、正社員採用を増やすことで人員確保に努め、生産性を改善していきたい。
◆2022V経営戦略での成果は。
まずは社内への周知、方針の徹底を図っている。自動車関係では自動車新商品開発センターを中心にCASEに向けた製品の開発・検討を行っている。特に、電動化では住友電工、住友電装と協力関係を密にし、新製品の検討を推進している。
新事業・新規顧客創出については、中国のローカルメーカーやインド、インドネシアなどの新興国への取り組みを強化する。
モノづくり革新では、日本の強い現場力をベースとし、国内でまずは製品を作りあげ、それをグローバルに展開していく。
◆国内市場については。
自動車関税の動向が懸念材料だが、全体的に需要は安定している。一般産業用品も比較的好調に推移しているが、プリンター向けのエレクトロニクス分野などがペーパーレスの影響などで減少傾向にあるが、自動車の電子化、住宅関連、ヘルスケア分野に注力し、カバーしていきたい。住宅関連では地震対策システム「TRCダンパー」に注力、ヘルスケア分野ではマーケット調査を行い、リソースをどこに向けるか検討していく。
◆働き方改革について。
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