住友ゴム工業は1月9日、独ライプニッツ高分子研究所との共同研究により、今まで解明されていなかったゴム内部のボイドと呼ばれる空隙(ゴム破壊の元)の発生からき裂発生までのメカニズムを解明し、その研究成果を発表した。この研究成果により、従来と比べて優れた耐摩耗性能を持つゴムの開発が期待され、より性能が持続する高性能タイヤの開発につなげていく。
タイヤの摩耗現象の一因であるゴムの破壊は、ゴム内部の分子切断やボイド形成によるき裂の成長によるものと考えられていたが、明確には解明できていなかった。そのような中で同社は合成ゴムのボイドの発生観察に取り組み、2015年に新材料開発技術「アドバンスド4Dナノデザイン」を活用してボイドの発生を構造シミュレーションで解明し、その発生を抑える技術を確立した。今回の研究成果は、実際の合成ゴムを用いた2種類の実験からゴム内部の力学的挙動を観察したことによるもので、ゴムの粘弾性をコントロールすることで耐久性の高い材料の開発につなげることが可能となる。
自動車産業を取り巻く環境が大きく変化する中、同社はさらに高い安全性能やさらに高い環境性能を実現するためのタイヤ技術開発コンセプト「スマート・タイヤ・コンセプト」を掲げている。今回の研究成果はこのコンセプトの方向性の一つである性能持続技術につながるものとなる。