東京工業大学は1月8日、同大学の科学技術創成研究院フロンティア材料研究所の原亨和教授、鎌田慶吾准教授、大場史康教授と元素戦略研究センターの熊谷悠特任准教授らが、石油などの有限資源や貴金属触媒を一切使わずにポリエチレンテレフタレート(PET)から代替えが期待されているポリエチレンフラノエート(PEF)の原料「2,5―フランジカルボン酸(FDCA)」を効率的に合成することに成功したと発表した。β-二酸化マンガンを触媒に用い、再生可能なバイオマス由来の5―ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)からFDCAを合成した。
原教授らが開発したアモルファス前駆体の低温結晶化法により、大きな表面積をもつβ-二酸化マンガン・ナノ粒子を合成することが可能になり、従来の二酸化マンガン触媒の性能を飛躍的に向上させることを達成した。従来の合成手法では大きな表面積を持つβ-二酸化マンガンの合成は困難とされていたが、今回の開発技術を用いれば地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出を大幅に低減することが見込まれる。
2019年01月10日