東レが遮熱フィルム新開発 高い透明性と遮熱性両立

2019年01月16日

ゴムタイムス社

 東レは1月15日、ガラス並みの透明性を維持しつつ、温度上昇の原因となる太陽からの赤外線に対する世界最高レベルの遮熱性を備えた革新的な遮熱フィルムを開発したと発表した。

 今回開発した、高い透明性と遮熱性を兼ね備えた新たな遮熱フィルムは、共同研究先の国立研究開発法人産業技術総合研究所中部センターにある環境調和実験棟において実施した遮熱試験においても、冷房負荷の中から日射に起因する成分を取り出す新しい測定手法を用いることで、通常のクリアガラス対比―39%、市販の高性能・透明遮熱フィルム対比―11%の冷房負荷削減効果を示すことが実証されている。

 同フィルムは、同社独自のナノ積層技術をさらに深化させ、革新的な層配列デザインにより達成したもの。同社は今後、さらなる遮熱性能の向上を図るとともに、3年後の実用化を目指して開発を進めていくとしている。

 地球温暖化を背景に、省エネ、CO2削減が求められており、その一つとして建物での冷房負荷の削減に対するニーズが高まってきている。冷房負荷を抑制する有効な対策としては、複層ガラスや遮熱フィルムといった太陽からの赤外線をカットするさまざまな遮熱部材が販売されている。

 同社が2008年に上市したナノ積層フィルム「ピカサス」は、同社独自積層技術の極限追求により、ナノスケールの厚みの層を数百~千層重ねたフィルムで、その層の厚みやその配列デザインにより特定の波長の光を反射させる機能を備えている。従来のナノ積層技術では、赤外線の反射性能を向上させようとすると、フィルムに色づきが発生するという課題があったが、今回開発した新技術は、すべてのナノ積層の1層ごとに高精度な層厚み制御を行い、かつ革新的な層配列デザインを導入することで、従来のナノ積層技術では困難であった高い透明性と遮熱性を両立させている。

 

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