横浜ゴムは1月29日、北海道・旭川市のテストコース「北海道タイヤテストセンター」で、スタッドレスタイヤの性能を体感する試乗会を開催した。
試乗会では、スタッドレスタイヤとオールシーズンタイヤでのカテゴリーの違うタイヤの性能比較や、吸水剤の多寡によるスタッドレスタイヤの性能比較などを実施した。
今回、わかりやすい旧商品と新商品の総合比較ではなく、吸水剤の多寡だけで比較することにより、吸水効果による氷上性能の優劣を体感することができた。
まずは、通常のアイスガード6と吸水剤を多く仕込んだタイヤで氷盤路でブレーキング比較を行った。
氷盤路では、時速20キロでブレーキを踏み、どの程度の距離で停止するか比較した所、吸水剤が多いタイヤが約2m程短く停止、10Mの走行距離から計算すると約20%制動距離が短縮したことになった。
この結果、吸水量の増加によりタイヤと地面の接地面積が増え、氷上性能が向上することが浮き彫りとなった。
ただ、吸水剤を増加するとコストも嵩むだけでなく、耐摩耗性能が減少してしまうなど相反する性能に影響が出るとのことで、やみくもに吸水剤を増加させればいいという事ではないとのこと、最適なバランスを追求していくことが重要になるという。
続いて、「アイスガード6」とオールシーズンタイヤ「ブルーアースー4SAW21」によるカテゴリーの違うタイヤでの性能比較を行った。
氷盤路では8の字コースを20キロのスピードで周回してみたが、「ブルーアースー4SAW21」ではコーナーを曲がると横滑りが始まり、ハンドルの制御が効かない状態になるのに対し、「アイスガード6」ではグリップが効き、舵角も小さくハンドル操作が可能となった。
また、左右にコーナーがある雪上スラロームコースでは、「ブルーアースー4SAW21」ではスピードが35キロを超えると制御が難しくなるのに対し、「アイスガード6」は、40キロまで旋回加速が可能であった。
今回の比較により、オールシーズンタイヤは構造上接地面積が少なく、サイプエッジ量が少ないため、氷上性能はスタッドレスタイヤに劣る部分があるが、雪道は溝面積が大きく溝エッチ量も多いため、スタッドレスとそれ程遜色なく走れると感じた。
その後、前輪に「ZEN902ZE」、後輪にワイドベースタイヤ「902L」を装着したトラクターヘッドでの雪上走行や奴田原選手が運転するランサーエボリューションに同乗し、ラリー走行を堪能できる機会も設けられるなど、盛り沢山の試乗会となった。
試乗会前に行われた製品説明会では、開発背景説明や技術解説が行われた。
最初にあいさつを行った城川隆執行役員タイヤ材料開発本部長は「消費財タイヤでナンバー1性能を目指しているウィンタータイヤの製品や技術の理解を深めて頂き、生産財タイヤではスタッドレスタイヤを中心に勉強会やTB用タイヤの試乗や事故修復塗料のデモも用意している」と試乗会内容について説明した。
続いて、消費財タイヤの中期戦略と商品概略について、消費財製品企画部の政友毅部長が説明を行った。
政友氏は、中期計画GD2020での消費財戦略は「プレミアムタイヤ市場における存在感の更なる向上である」とし、その中で、国内のスタッドレスタイヤ、欧州のオールシーズンタイヤ、ロシア北欧向けのスタッドタイヤでナンバー1の性能を目指すウィンタータイヤ戦略に注力していくと説明した。
続いて、スタッドレスタイヤの歴史を説明した後、第6世代のアイスガード6について「既存製品と比較して、氷上制動15%向上、ウェット制動5%向上するなど重要性能を向上させた製品だ。発売から2年経ち、市場から好評価を得ている」と話した。
また、昨年秋に欧州市場で販売開始した欧州型オールシーズンタ